プロフみて」Xでよく見るリプ欄の裏垢女子がなぜか俺にだけリプライを送ってくるんだが……
「また裏垢女子か…」
俺は福島湊斗、どこにでもいるツイ廃高校生だ。
今日もいつも通り趣味のアニメについてツイートしていたのだが、最近良く見るリプ欄に現れるやつが来ていらいらしていた。
ブロックすればいいじゃないかと思うかもしれないがこういうのは大体botのため、ブロックしても次から次へと湧いてくるのできりがない。諦めて無視してXを続けた。
「最近リプ欄そういうのばっかりだよな、運営も対策しろよな」
次の日、俺は友達の金田楓真とXについて話していた。
「せめて本当にそういう動画くれれば良いんだけどな」
「頭の中ピンクすぎるだろ」
「なんの話してるの?」
幼馴染の青山芽依が話しかけてきた。
「Twitterのリプ欄のbotがうざいって話」
「ふーん、私Twitterほとんど使ったことないからわからないな」
「芽依は陽キャだからインスタだもんな」
「湊斗が陰キャなだけでしょ」
「うるせえ」
家に帰っていつも通りXを見ているとまたリプが来ていることに気づいた。
「本当何回くれば気が済むんだ」
見てみると昨日と同じアカウントから送られてきていた。
「珍しいな、同じのが来るなんて」
ちょっと驚いたが、それ以外特に変わりもなかったのですぐに閉じてしまった。
次の日もその次の日も、同じアカウントからリプが来ている。
さすがにそろそろブロックしようかと思ったが面倒くさいのでそのままにしておいた。
「ねえ湊斗、次の日曜日どっか行こ」
芽依が俺を誘ってきた。だがその日はフォロワーさんとエンカするために東京に行かなくてはいけない。
「その日東京行くから無理」
「何しに行くの」
「フォロワーさんと会って来るんだよ」
「女の子?」
「女の子だけど、お前には関係ないだろ」
「そうだけど……」
芽依は何か言いたげな表情をしていたがすぐに行ってしまった。
日曜日の夜、東京から帰ってきてXを開くと、いつものようにリプが来ていた、が
なんといつもの文面ではなくとんでもない文章が送られていた。
「私の知らない女の子と会ってないでプロフみて」
うん、あいつじゃん。どう考えても芽依がやってるじゃん。
俺はすべてを悟った。
「最後にプロフみてって付けときゃなんとかなると思ってるだろ、自我出てるんよ」
月曜日、俺は芽依に直接聞いてみることにした。
「芽依、お前Twitterで俺にリプ送ってきてるだろ」
「な、なんのこと?私は動画をDMで送ってるだけdあっ」
「えっ」
……え?botのふりじゃなくてガチの裏垢女子だってこと……?
まずい、空気が凍ってしまってる……何か言わないと……
「えっと……えっえr」
「ふーん湊斗は私のことそういう目で見てたんだ」
「まだ何も言ってないだろ!」
「あの……今のは聞かなかったことにしてくれない?」
「ごめん俺の友達裏垢女子で草ってツイートしちゃった」
「人生永久凍結していい?」
「どちらかと言えばお前のほうが凍結対象だろ」
なぜか漫才のような掛け合いになってしまった、1000万円貰えないかな。
「もういい、リプ送ったのは認める」
「やっぱりお前か、てかなんであんな事してるんだよ」
「プロフみて」
「え?」
「だから……プロフみてって、書いてあるから」
プロフィールに書いてある……?はっきり言って意味がわからないが一応見てみることにした。
「何が書いてあるんだよ……ん?」
プロフィールを開くとそこには好きだよと書かれていた。
いやなんでこんなやり方で伝えようとするんだよ……
正直俺は今めちゃくちゃ困惑している、実は芽依に好意を抱いていたのだが嬉しさより困惑が勝っている。
「え、なんで……」
「そんなの好きだからに決まってるじゃん!」
「いやそうじゃなくてなんで裏垢女子のふりで伝えようとしたんだって」
「裏垢女子のふりじゃなくて裏垢女子だよ」
「それはどうでも……いや良くないけど! 告白なら直接でもLINEでもできるだろ?」
「それは……恥ずかしかったから……」
「裏垢女子やってるほうが恥ずかしいだろ」
「でも! この伝え方ですら勇気出したんだから……ねえ、返事は?」
「ごめんなさい」
「え……」
「付き合うことはできない」
「そっか…」
「ثم يموت」
「え?」
芽依は突然謎の言語で話し始めた。
「な、なんでそんな言葉」
「だって裏垢女子で駄目ならインプ稼ぎになるしかないじゃん」
「どういう思考だよそれ」
「とにかく付き合うことはできないの」
「なんで?」
「怪しいLINEリンク踏みそうな人間と付き合えない」
「確かにそうだわ」
「これからは友達としてよろしくね」
「ごめん無理だわ、裏垢やってるやつと変な意味抜きの友達にはなれない」
「抜きと抜きでかかってる?」
「かかってねえよ」