本日、曇り時々火災
ベルリンが燃えるよりマシでしょ
午後5時、曇り空の下を雪駄の音と揃って歩いている。ざらついた地面を擦る音が閑静な住宅街によく馴染んでいた。
私鉄の線路に向かって南下していく私は、不意に外食がしたくなって羽織を着て外に出たのである。冬が近い秋風はいつも以上に乾いていて、私の足音がそれをいっそう思い知らせてくる。
道中、コンビニとマンションの間を通ろうとした時に、私は変な違和感を覚えた。珍しい犬を連れた老人がすれ違ったからではなく、派手な髪色の女性がコンビニから出てきたからでもない。
街が、燃えているように赤くなっていったのだ。実際に熱を感じたのではない。めらめらと燃える音もしていない。私は後方を振り返って北天の彼方を見た。曇り空が赤く染まって、私のところまで沁み渡ろうとしているのである。
赤と灰のグラデーションが、不謹慎ながら私に大火災を連想させた。
そう考えると、ふと足を止めて周りを観察すれば違う世界に見えてくるのである。公園の子どもたちの楽しそうな声は悲鳴に変わり、人通りの少ない公道は避難後の廃墟となったようだ。
私の袖を見れば、夕陽に焼かれて赤く燃えている。どうやら火の手は、静かに私のところまで到達していたらしい。
私は、いなくなった人々と同じように南に逃げていく。いずれは地平線に鎮火されると知っていても、誰かがあの日天の下で焼かれているとしても、逃げなければならなかった。
私の肌を赤が燃やしていたからではない。
私の目をプラズマが焼いたからではない。
ただ、私の背中が、少し肌寒かったからである。
ファンボックスやってるからそっちもよろしく。
純文学感ゼロだけど。




