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古い映画
中原中也かっけえ。
これがこの話を書いた動機です。
柳の隙間から、見たくないものを見ている。
悲しみや温かさが入り混じって、ぬるさと冷たさを往来した。草花はしゃらんしゃらんと衣擦れを起こして、可愛げに袖を振っている。
朝の向こう側から、色が少し奪われる。
奸物は、幾度も満たせず轍を踏む。雪が纏った袷も、海風とすれ違う紗も、指先をすり抜けてしまったから。
少女の肢体から、熱がゆっくり消えていく。
肌を求めて布団を握り、人を求めて偽の空を見上げる。祖母が見守る畳にて、附子に苦く笑わされた。
私の体から、重さが段々と抜けていく。
シーツは溶けてチューブは透けて、白と零に限りなく近づいていくのが分かる。私の心は、痛みも悲しみも追い越して、たった一度、高鳴った。
映画はここで終わっている。
観客二人のシアター館、火傷を負ったフィルム、軋み始めた座席。肘掛けは折れて寄りかかれない。
だから代わりに、君の肩で支えてくれるかい。
我ながらいい感じにエモい短話ですね。
とても深夜3時まで起きて気絶寸前まで追い込んで書いてみたものとは思えません。
やっぱり、いいものを生み出すには何かしら強迫や追い詰めがいるんでしょうかね(クソ論)




