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ディスマン短編集『語らずとも談る』  作者: ディスマン


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敗れて此処まで

数年前に書いた歌詞の一節から思いつきました。

たまには凄い短い話もどうかなって。

 風が隙間を通り抜けていく。塩気のある風のせいで、心地よさと引き換えに搭乗員の髪が傷んだ。陸も見えない海だけの小さな世界で途方に暮れるかのように、私たちは風に従う。

 勘違いしないで欲しいのが、水も食料も十分にあるということだ。それに、私たちは決して目的地が分かっていないわけでも、遭難しているわけでもない。ふと、果てしない海を見てそう錯覚してしまっただけだ。

 現在、この船はインド洋を過ぎてマラッカ海峡を目指している。行先は日本の長崎県だ。理由は貿易というごく普通な事情である。

 嵐でもない限り危険な航海ではない。大船に乗ったつもりでいてくれと、私は胸を張った。この船の要である私がどうにかなってしまえば、全員が危険に晒されてしまう。それだけ、私の立ち位置は重要かつ責任大なのだ。

 今の所、何かしらの病気になったりとか、行き先を見失って迷ってしまったりとかは無い。私はただ、風にこの身を晒して皆を導くのみである。ただ、それだけである。

 しかし、ほんの小さな問題だが、私の体に傷ができ始めてきていた。破傷風や感染症に罹る恐れはないが、このままでは風を味方にしづらくなってしまう。乗組員が応急処置として、私の傷を手当してくれた。少し不格好だが、航海するには申し分ない。長崎に行く前に、一度ミャンマーかマレーシアの港に停泊して、きちんと直してもらわねばならない。そう決めた私たちは、進路を南東から東へと変更した。

 風は今も、私を優しく押してくれていた。

いったい何目線の話なんだ

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