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ディスマン短編集『語らずとも談る』  作者: ディスマン


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熱せん妄

風邪引いた時の幻覚や夢をまとめてみた。

意味分からない文章にきっとなっているでしょうが、これもまたマジック・リアリズムです(多分)

 無駄に長い御託を並べられ、それを自らの寿命を消費されながら聞かされている。ある者は大きなお世話、ある者は有難い説教と言った。だが私にとっては、これは人間の越権行為に他ならない。次第に苛立ちが募り始める。何なのだこの時間は。私にこんな不毛な時間を過ごすために此処にいるのか?

 そんなわけがない。馬鹿馬鹿しい。私はこれまで人間的に上位者となろうと常に努めてきたのだ。そんな阿呆の茶番に付き合う気は毛頭ない。なので私は目の前で日本語を喋っているだけの亜人の話を流すことにした。馬の耳に念仏とは、なんと素晴らしき言葉だろうか。

 私の意識が虚ろなうちに自己満足してどこかへ立ち去って欲しかったが、まだ彼の舌の根は乾いていなかった。さて、どうしたものか。中世なら迷いなく殺していたが、今は秩序ある現代だ。殺しや不当な武力行使は人間として品位が低い。

 また前のように耐えることにしよう。それが、子供に対する大人の対応というものだ。


 そうしたかったが、何故かこの時の私はそんな気分ではなかった。

 心に従うままに行動した結果、彼は汚い砂と土の上で息絶えていた。喉が内出血を起こして変色している。左手には少し大きめの石が握られていた。どうやら無意識に殺してしまっていたらしい。ラッキー、これでレベルアップだ。RPGでよく聞いた効果音が聞こえた気がした。今ここで火炎魔法が使えたら証拠隠滅も楽なのに。

 そんな感じで現実逃避すると、死体がメラメラと燃え始めた。指先に熱を感じたので見てみると、私の指先で小さな炎がゆらゆらと揺れていた。

 もしや、本当にレベルアップして魔法が? 私は人生で一番の有頂天になりかけていた。夢にまで見た非現実的現実が私を迎え入れてくれた。

 よし、せっかく殺したから彼の一族郎党も抹消してあげよう。平等に訪れる死を、平等な時間で与える。私はセラフィムになった気分だった。

 彼の家を見つけ、そこを中心に火の柱を天まで延ばした。近所も巻き添えを食らってしまったが、コラテラル・ダメージとして処理しよう。正直罪悪感は微塵もなかった。

 すると急に場面が一新した。ランダムに瞬間移動でもするのだろうか? なぜか頭が上手く回らなくて、自然に流れに身を任せてしまう。

 ここは、真っ暗な夜の下みたいだ。地面もよく見えないような暗がりで、遠くでは火の光と煙が上がっていた。遠くの森で山火事が起きているらしい。

 そう認識した直後、目の前にはさっきまでいなかった見知らぬ男女が8人ほど立っていた。彼らは私を見たかと思えば、まるで殺人鬼と出会ったかのように燃える森の方角へと逃げていく。それを私は、理由なき暴力衝動に駆られて、8人のうち無作為に一人の男性を追いかけた。

 暗闇の中、燃え盛る逆光を頼りに男を捕まえ、これまた急に現れた廃車に男の顔面を叩きつけた。何度も、何度も、音に生々しさが足されていき、夜の闇でも分かるほど私の手も車も血塗られていた。

 その時に、車の窓に映った自分の狂気に満ちた笑みは、人生で最も恐ろしかった。


 一瞬意識が暗転したかと思えば、私は現実世界に戻ってきていた。男はとっくに消えていて、不純のない街の喧騒が戻ってきていた。

 なんだ、夢だったのか。私は愕然として、同時にがっかりもした。結局殺せなかったのか。そう思ったが、私は既に理性を取り戻していて、知性と理性を兼ね備えたホモ・サピエンスとして社会的秩序に反することはしてはいけないと再認識した。

 ならばこの恨みはどうしてくれようか。悶々としながらも駅ビルの書店に立ち寄った私は、サブカルチャーのコーナーで運命的な本と出会った。

「呪術講座入門編」




 その10日後、彼の最愛の息子は数日間インフルエンザで(とこ)()せていた。

ド◯えもん、独裁スイッチ出して〜!!!

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