お米ダチの作り方
我、米に会うため生を受け
米に生涯捧げて苦なし
教室の黒板に白いチョークで大きく描き、目の前の女生徒に説く。
「故に我々は、米の上に人を作らない」
「なんて?」
「解説が必要なのか?」
解説も何も、突然放課後この教室に拉致られて意味のわからないことをとつとつと説かれるのはうんざりだ。
「あなた、私をここに引きずり込んで何がしたいの?」
「疑問に疑問で返すな」
「まともなコミュニケーションを私に求めるなんてムカつくわね!」
この妙に居心地のいい教室に、2時間監禁されれば誰だって口も悪くなる。
私のプランでは今ごろ、コンビニ新商品の濃い味おにぎりを食べ炭酸水で喉を潤し最高の金曜日になっていたはずなのに!
「じゃあ質問いいかしら?」
「よいだろう、お米の眷属も頷いている」
手触りの良さそうなフェルトぬいぐるみが、ヘッドバンキングしている。少しホッとしてしまうわ。
「はぁ...まずなんで私をこの部屋に連れてきたの?」
「なぜ?愚問だ米の天啓が私にきた」
「右斜め前の女生徒は米好きだと」
「そしてこの眷属は、私が体を与えたフェルトで作った米津だ、ヨロシク」
「確かに米は好きよ、でも、」
「そうだろう女生徒!」
「名前も知らない奴をここに連れてきたのあんた!?」
「クラスメイトだから知っている、沢村 心だろ」
認識されている上でこんな狂人に監禁されるなんて、私ってなんて今日ついてないんだろう。
「とっておきの米が今私の手元にある」
「米好き同士正味しあおうじゃないか」
「ここに炊き立てのコシヒカリがある、美味しいお水で育った新米だ」
色々突っ込みたい、ダメよ私。
こいつのペースに飲み込まれたら、毒が何か仕込まれているかもしれない物を食べることになるわ。
つとめて冷静に、ね。
「お新香も準備してきた、クーラーボックスの中で冷えているから美味しいぞ」
「あなた友達の作り方って知ってる?」
「」