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《第二章完結》世界が静かになっても君の羅列と耳障りな雑音《ノイズ》は消えなくて  作者: 三愛 紫月
第三章 すれ違って進む新しい未来

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side 琴葉

徹君に言われた言葉を思い出していた。

ーー生きるの諦めたくならない?


確かにそうだ。


私は、実家に帰るときっと。




「こんばんは」

「こんばんは」

「今日は、みんなで飲もうよ!乾杯」

「乾杯」


音と出会って再会して、少しだけ仲良くなり始めた頃。

私と真弓と徹君と音の4人で飲もうってことになって。

集まったのは、徹君の家だった。


酔っぱらった私。

だけど、意識はちゃんと保ってた。


「あのね」

「どうしたの、琴葉?」

「私ね。お父さんといるとね、生きるの諦めたくなるの」

「どうして?」


優しい音の声にボロボロ泣きながら話したんだ。


お父さんは、いつだって正しさが正義だって思っている人で。

正しさで救われない人がいるんだよって話してもわかってくれないって。

お父さんの正義は、いつも私を切るのって……。


泣きながら話した私に、三人は生きようとか頑張ろうなんて平凡な言葉じゃなくて……。



『笑おう!!』と言ってきたのだ。




「ここです」

「お邪魔します」

「あっ、お帰り。えっ?何で徹?」

「ちょっと会っちゃったんだーー、駅で」

「それって、徹も間に合わなかった感じ?」

「すごいなーー。真弓は、よくわかってる」

「何よ、それ。間に合わなかったなら、向こうまで行けばよかったんじゃないの?」

「それは出来ないよ」

「お母さんか……」

「音のお母さんだけじゃないから、反対してるのわ」

「確かに……そうだよね」

「コーヒー淹れるね」

「いいよ、自分で淹れるから!病み上がりは、ゆっくりしときなって」



真弓の言葉に私はソファーに座る。

これ以上、春樹に迷惑はかけられない。

だけど、実家に帰るのも。



「琴葉、家くる?」

「えっ?二人はその……」

「いいよ、俺は。夜勤多いから」



真弓と徹君は同棲している。

私は、いつも二人の優しさに甘えてばかりだ。



「ううん。お母さんも一葉もいるから大丈夫」

「そっか、わかった」

「何かあったらいつでも来なよ」

「わかった」



大丈夫だって思わなきゃ。

実家には帰れない。



「はい、コーヒー」

「ありがとう」

「琴葉は、ホットミルク」

「ありがとう」



砂糖の優しい甘みが口の中を広がっていく。



「大丈夫?琴葉ちゃん」

「あれーー、おかしいな」

「泣いていいんだよ、琴葉」



胸の中に大きく広がった欠け。

それを埋めるすべを持ち合わせていない私。


「あーー、あーー」

「よしよし」



もっと一緒に……。

もっと一緒に……。

もっと一緒に……。



音といたかったよ。

言葉にならない想いは、涙となって溢れだした。


ただ隣で笑い合っているだけで幸せだった。


どうして?

こんな風になったんだろう。


あの事件に遭遇しなければよかったんだ。


私がヘッドフォン何かつけてなかったらよかったんだ。


待ち合わせ場所を駅前にすればよかったんだ。


今さら、何を言ったところで音は戻ってこない。


わかってる。


わかってるから、言葉には出せなかった。

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