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side 音
本当は、ゆっくりと最後のお別れでもしようと思っていた。
だけど。
この部屋に入れば入る程。
涙が流れて止まらない。
この部屋のどこもかしこも、全部。
琴葉がいる。
琴葉との思い出がある。
15時には、まだまだ早い。
とりあえず、ガラガラのリビングに寝転がろう。
「会いたいな……」
ポツリと自分の呟いた言葉に驚いた。
会えるわけない。
どれだけ、琴葉を傷つけたと思っている。
こんなに傷つけたんだから、神様が許してくれるわけない。
どうか、神様。
これから、琴葉が進んでいく未来が明るい日々で彩られていきますように……。




