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第八章 謎の少女と不穏な警告

剣一は眉をひそめ、確認しに行くと、大きな岩のそばの草むらに美しい少女が横たわっていた。


少女は満身創痍まんしんそういで、胸の血だらけの大きな傷からは鮮血が流れ落ち、死に瀕しているようだった。小さな狐は彼女のそばに佇み、近付いて来る剣一をただただ見ていた。


 剣一は少女を見下ろし、眉をひそめて言った。


 「こんな重傷を負い、こんな近くに倒れているとは。おそらく、さっきの黒祈祷師が捕まえた生贄いけにえだな?チビ狐が俺を導いたのは、俺に彼女を助けさせようってことか」


 剣一はしゃがむと、少し気まずそうに少女の胸の傷を調べた。


 「黒祈祷師の治療薬が効くはずだ。ただ傷の場所が場所だし、傷も胸の奥まで達しているから、少し処置がやりにくいな」


 剣一は歯を食いしばった。


 「構うもんか、まずは彼女を救わなくては!どうせ気を失っているから何もわからないだろう。処置が終わったらすぐ立ち去ろう」


 そして剣一は目を閉じ、顔を横に背けると、片方の手で少女の胸をはだけ、もう片方の手で白い薬瓶を持ち傷口に薬を注いだ。


 薬液が少女の胸の傷に滴り落ちた瞬間、少女は痛みに襲われ、ゆっくりと眼を開けると、見知らぬ男性が自分の服を引っ張っている光景が目に飛び込んできた。目と目が合ったその瞬間、二人の驚きは相当なものだった。


 すると少女が剣一の胸元に痛烈な一撃を放ち、絹を裂くような声で「恥知らず」と叫んだ。剣一は不意を突かれ、後ろに倒れてしまった。


 少女は病に苦しむ美女のように胸を押さえ、なんとか体を起こし、憤慨して罵声を浴びせた。


 「卑劣なやつ!あの黒祈祷師の仲間でしょ!あんたたちの思うようにはさせないんだからね!」


 剣一は起き上がると、慌ててしどろもどろになりながら釈明した。


 「な…何を言ってるんだ?お…俺はた…ただ…もういい…、説明するのも面倒くさい」


 そして煩わしそうに白い薬瓶を少女の方に放り投げ、背を向けて立ち去ろうとした。


 「これは治療薬だ。治るまでその薬を塗るんだぞ。じゃあな」


 少女は素早く衣服を整えると、両手を交差させて胸元を押さえ、罵声を浴びせ続けた。


 「あんたから受け取った物なんて使うもんですか!傷が癒えたら体をバラバラにしてやるから覚悟してなさい!」


 小さな狐は傍らで腹を抱えて大笑いしている。


 剣一は小さな狐を一瞥(いちべつ)し、


 「フンッ!お前が俺を連れて来たくせに誤解されているのを見て、どうして笑ってられるんだ?」


 と口にした瞬間、ふと奇妙に感じ、考えを巡らせた。


 「このチビ狐、人間の言葉を理解しているのか!」


 この時、小さな狐が少女にヒソヒソ声で今までの顛末てんまつを説明した。少女はたちまち顔色を変え、信じられないといった様子で言った。


 「え?あの人が黒祈祷師を倒して、それでさっき私を、た…助けてくれたの?」


 彼女は顔を赤らめてうつむき、頭をかきながら、きまり悪そうに言った。


 「ご…ごめんなさい、さっきは私の誤解でした」


 剣一は安心して一息ついた。


 「大したことない、わかってくれたなら良かったよ」


 少女は突然何かを思い出したかのように、顔色がまた大きく変化した。


 「治療する時に…何か見ましたか?」


 剣一が答える間もなく、空から飛行物体の轟音が聞こえてきた。二人とも顔を上げて空の果てを眺め、剣一は急いで話題を変えた。


 「迎えの航空機だ!」


 「ビュー」


 空中で航空機が高速接近してきた。


 少女は急に警戒心を抱き始めた。


 「あなたと十二星殿はどんな関係なの?高官があなたを迎えに航空機を寄越すなんて」


 剣一が答えようとした時、封神システムの警告ポップアップウィンドウが突然彼の目の前に現れた。


 システムのポップアップウィンドウ:ただちにこの地から離れなさい、危険が迫っています!


 剣一は眉をひそめて考えた。


 「ちょうど航空機が迎えに来て、第九星殿に戻り全てを明らかにできるのに、なぜ警告なんて…故障か?」



 航空機がますます接近してきた。


 少女は慌てて小さな狐を抱き上げ、警戒の表情を浮かべ、手を上げて見つめた。一方剣一は大喜びしていた。


 「もうすぐ仇討ちが果たせる!」


 彼は近くの険しい坂を飛ぶように駆け上がり、跳びはねながら手を振った。


「俺が剣一です!ここです!」


 システムのポップアップウィンドウ:警告!命の危険です。ただちに身を隠せる場所に避難してください!


 剣一は呆気にとられ、怪訝(けげん)な表情を浮かべた。


 「何だ?」


 「ブーン――」


 航空機の弾薬発射装置が突然赤く光った。


 剣一は十歳で軍に入隊し、第九星殿に駐屯していたため、この赤い光を嫌というほどよく知っていた。彼は信じがたい様子で叫んだ。


 「いけない、狙われている!」


 「警告します!」

 「警告します!」

 


 システムのスクリーンは赤い警告ポップアップウィンドウがひっきりなしに現れ、いくえにも重なって表示されていた。


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