第十章 Dランクの強敵!肉山 登場
一週間後、小さな町の酒場。
賑やかな酒場で、剣一は一人、隅の席に座り食事をしている。彼は酒場のテレビを全く気に掛けていないように見えたが、耳ではそちらの方の様子に注意を払っていた。
テレビの近くには、長身痩躯の殺し屋、マントを羽織った魔術師、そして背が高くがっちりとした体格の戦士の三人が座っていた。
殺し屋は焦った様子でほかの二人に尋ねた。
「もう三日だ。兄貴はどうしてまだ戻らないんだ?第十二星殿の星空の割れ目に入る今年の最終期限は明日なんだぞ」
マントを羽織った魔術師は落ち着いて酒を飲みながら言った。
「兄貴はもともと昨日戻るはずだった。若旦那様が急に兄貴を呼びつけたんだ。組織の重要な祈祷師が誰かにやられたらしいが、そいつに出くわしたのかもしれない」
テレビのニュースでは、廃墟と化した第九星殿の映像が流れていた。キャスターがニュースを読み上げている。
「第九星殿が完全に壊滅したことにより、彼らが守っていた星空の割れ目は不安定になりつつあり、国連はここから続々と異星生物が地球へ侵入することを懸念しています。そのため、人皇は明日特別会議を招集し、第九星殿の周囲における防衛陣地の建設について協議する予定です」
殺し屋は口角を上げると、冷ややかに笑った。
「第九星殿のやつらは本当に無能だな!つまらない獣の群れすら阻止できないで、何が大剣聖小剣聖だ」
魔術師がからかうように続けて言った。
「名声は聞くだけでいい。高いポストに居座り、栄華と富貴に溺れたやつらが互いに持ち上げて作り上げたものなんだから」
背の高いがっしりとした体格の戦士は毛嫌いするように言った。
「大剣聖に小剣聖?フン、ただの能なしさ、本当の試練の前ではボロを出す。あいつらはこうなる前に引退するべきだったんだ。死してなお地球を巻き込むなんて、正真正銘の疫病神じゃねぇか」
「バンッ!」
ガラスのコップが背の高い戦士の後頭部に当たった。彼は呆気にとられた後、後頭部をさすりながら憤って振り返り、怒鳴った。
「物事を弁えないクソ野郎め、死にたいのか?」
剣一は戦士に向かって突進すると、その顔にバシッと強力なパンチをお見舞いし、戦士を後ろに吹き飛ばした。
仲間が殴られているのを見て、殺し屋と魔術師は慌てて立ち上がった。魔術師が剣一に向かって怒鳴った。
「何者だ?俺たちに喧嘩を売ろうなんて!ここが誰の縄張りか知らないのか?」
剣一は何も言わず、ただ冷ややかに叫んだ。
「喰らえ!」
精神力で形成されたバーチャルな剣が真っ直ぐに魔術師の頭頂部に突き刺さった。魔術師は目をむき、大声で「うわっ」と悲鳴を上げた。
殺し屋は短剣を握り、速やかに剣一の背後をとると、「死ね!」と叫びながら剣一にを向けた。
剣一は振り返って剣を振りかざし、素早く殺し屋に斬り付け、嘲笑って言った。
「のろすぎるぜ!」
殺し屋の体にゆっくりと一筋の血の筋が浮かび上がった。殺し屋は両目を大きく見開き、ゆっくりと後ろに倒れた。
周りにいた客は驚いて四方に逃げ去った。戦士は起き上がると、少し怯えながら剣一を見た。
「わ…我々が何をしたというんだ?あんた、と…とんだことをしでかしたな!俺たちのボスが誰がわかっているのか?」
剣一は全く恐れることなく、眉を少し吊り上げると、厳しい表情で言った。
「お前はさっき、地球を守るために戦死した第九星殿の英霊たちを侮辱した。彼らがいなければ、今頃お前たちもこの世に存在していないんだ!お前たちのボスが誰かなんて、どうでもいい!」
戦士は不服そうな面持ちで冷ややかに笑って言った。
「第九星殿はもう存在しない、何を言おうが関係ないだろ!」
剣一はわずかに俯いて自分の手に握った剣をちらっと見ると、決意に満ちた眼差しで言った。
「違う、第九星殿はまだ存在する!」
この時、入口から巨大な人影が入って来た。
「遠くから喧嘩の声が聞こえてきたが、俺の縄張りで騒ぎを起こしてるやつは誰だ?」
背の高い戦士は驚喜してそちらを眺め、大声で叫んだ。
「兄貴!」
「小僧、俺の手下を殺そうなんて、命知らずな野郎だな!」
男が剣一に近寄って来た。男はDランクの覚醒者で名を肉山といい、その名の通り背が高く筋肉質で、「裂地捶」というスキルを持っていた。
剣一の精神力はSランク以下の全覚醒者のレベルを感知できるが、彼は思わず二、三歩後ずさりし、対策を考えた。
封神システム:警告します!歯が立たない相手です。できるだけ早く離れてください!
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