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【冒険者ギルドの特命執行官】  作者: 琥珀 大和
第二章 DE OPPRESSO LIBER
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第48話

このまま黙秘すれば犬死にすると言外に伝えた。


ソフィアが暗殺事件の実行犯かは確証がない。


ただ、関わっていたとしても主犯ではないように思え、さらにディレクやミオから得た情報から何らかの事情が垣間見えた。


「名誉勲章をもらっているそうだな。」


「················」


「所属は違うが俺も同じ国の軍にいた。その重みは知っている。」


名誉勲章は米軍の勲章としては最上位のものである。軍人としての義務を超えた勇敢な行為や、自己犠牲によって多くの人々を救った場合などにしか贈られない。


ちょっとした賭けだが、かつてのソフィアには名誉勲章受勲に相応しい人間性があったのではないかと思っている。


もちろん、長い軍役やこちらの世界に来てからの経験によって、人間性が欠けていった可能性はあった。


人の生き死にや残酷な行為を見すぎてしまった場合はそんな風に陥りやすい。


「おまえがすくい上げてくれるとでも言うのか?」


「どうだろうな。詳しい事情を知らないまま不用意な発言はしたくない。」


ソフィアが俺の目を覗くような視線を向けてきた。


真意を測っているのだろう。


整った顔立ちをしている。中身が男だと知っているため、見惚れたり欲情することはない。


だが、そういった感情を向けてくる奴は多いだろう。


「······安易にYESという奴よりはマシか。」


「賭けてみるか?」


「いいだろう。だが、裏切ったらどうなるかわかっているな?」


「まだ組むかはわからないが、そうなるなら裏切りはしない。」


「······組むさ。おまえはそういう奴だろう。」


たぶんだが希望的観測を述べている。


それだけ何かの(しがらみ)に囚われている気がした。


「話してくれ。」


腹を割って話す。


今はそれが最善だと思えた。


ソフィアが騙してくるなら、それを見抜けない俺が間抜けなだけだ。


そうとわかればすぐに排除する。


次にやりあっても勝てる保証はないが、手の内はわかっていた。


近接戦闘で負けるなら刃物でのやりとりだろうが、それ以外の可能性も否めない。しかし、可能性の話などどこまでいっても消えることはないのだ。


一度信じたらそれで突っ走る。


背中を預けるケースで無防備を晒すかどうかはそのときに考えればいい。


戦闘とはそんなものだ。


同じチームでも射線を遮ったら死ぬ。


戦闘以外で険悪な中になって味方に撃たれる奴もいる。


元の世界だろうと異世界だろうと、死ぬときは呆気なく死ぬのだ。






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