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【冒険者ギルドの特命執行官】  作者: 琥珀 大和
第二章 DE OPPRESSO LIBER

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第42話

マイヤーに拘束されたカレンは、彼に対する疑念や感情を抑えてこの先の展開について思考を巡らせた。


ソフィアは自分の命を今すぐに奪うつもりではないだろう。


彼女の腕前なら致命傷を与えることなど難しいことではないはすだ。それに、その気ならばあのような手段で逃げ出せるとも思えなかった。


彼女の狙いは何か。


カレンが思い浮かんだのは、邪魔者の排除。


自分を餌に誘き寄せ、人質として活用する。


ナオだ。


ソフィアにとっても彼が難しい相手だと感じているのは容易に想像できる。


彼女の衣服の土汚れは彼の命を狙って失敗した名残ではないだろうか。


そう考えればこの状況は符号した。


ならば、今は無駄に動かない方がいいだろう。


このまま連れ去られたとして、ソフィアはナオを呼び出すはずだ。その時にどの程度の敵がいるかはわからないが、ナオなら何とかできる公算が高かった。


彼は甘い男ではない。


自分の身は案じてくれるだろうが、人質にされたからといって黙って自らの身を差し出すようなことはしないはずだ。


そんなことをすれば、ふたりとも助からないのは明白である。


自分はソフィアやその仲間から痛みや辱めを受けるかもしれない。


しかし、ナオが不用意に渦中に飛び込むほど無謀な者ならば、これまで生き残ってくることなどできなかったはずだ。


そういった意味でカレンのナオに対する信頼は誰よりも強かった。


それはひとりの女性としてだけでなく、仕事を通して築かれた信用に他ならない。


カレンはあらためて自らの内面の状況を確認した。


『···大丈夫だ。少し混乱と不安はあるけれど、冷静さは失っていない。』


さらに心を落ち着かせるため、マイヤーには気づかれないようそっと深呼吸するのだった。




パンッと乾いた音が鳴り響いた。


執務室から出て来たソフィアがカレンの頬を張ったのだ。


「あまり手間取らせないでくれる?」


音は派手だがそれほど強烈ではなかった。


鼓膜が破れたり、口内が切れるほどのものではない。ただ、痛みの後に頬が熱を帯びるのを感じられた。


ソフィアが手をあげたのは、怒りからではなく警告を意味していると思う。


かすかに殺気をはらんでいたが短絡的に暴力に頼るなら執行官、ましてや裁定者になどなれはしない。


相手の心理をコントロールする術として、時には暴力が有効だというのは事実だった。





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