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【冒険者ギルドの特命執行官】  作者: 琥珀 大和
第二章 DE OPPRESSO LIBER
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第38話

さすがに身の危険を感じたカレンは咄嗟に次の行動を考えた。


やはり応戦するというのは難しい。


現役の執行官との実力差など考えるまでもないだろう。


助けを呼ぶために大声を出す。


一番簡単な方法はそれだ。


しかし、声を出す瞬間に喉を潰されるか、刺されて終わる気がする。また、運良く声を出せたとしても、その後に待ち構えていることを考えると不用意なことはできなかった。


異変に気づいた職員が駆けつけてくるとして、その間に自分が傷つけられない保証などない。


さらに、この部屋に踏み込んだ職員が巻き添えをくう可能性も非常に高かった。


ギルドマスターとして強い人間を演じてはいる。


だからといって、我が身可愛さに部下を失って平気でいられるほど図太く生きているわけでもないのだ。


生への執着は当然人並み程度にある。


ましてナオがいるのだ。


簡単に人生を放り投げるほど、日々の生活に辟易してはいない。


自惚れかもしれないが、自分が傷つけばナオは本気で怒ってくれるだろう。


彼は普段から焦ることがない。


それは常時余力を残しているということだと思っている。


以前に在籍していた辺境の地で一度ブチ切れた彼を見たことがあったが、その時でさえ不安定な内面は見せなかった。


ただ、冷静さの中に冷酷さが加わり、淡々と作業をこなすかのように敵対した相手を無力化していったのが印象的だったのである。


冒険者というよりも対人戦闘、しかも複数を相手にしたときの様子は圧巻だった。


もし彼がこの場に駆けつけてくれたなら、事態は間違いなく好転するだろう。


ただ、その場合は自分が足枷となるのは明白だった。


人質にされないにしても、絶えずこちらに注意を払いながら彼女と戦うというのは不利でしかない。


刹那の時間でそこまで考えてカレンは思い直した。


確かにナオからソフィアが不穏な動きを見せるかもしれないと聞いている。


しかし、彼は今日新人教育のために出払っているのだ。


ソフィアの衣服の汚れがナオと関係があるかははっきりしない。


その状況で、タイミングよく助けに来てくれるかなどわかるはずも無かった。


そう考えると今の状況は自身で打開するしかない。


たいして強力な魔法を使うことのできないカレンだが、微弱な魔力くらいは相手に気づかれないよう操作できる。


焦った表情をソフィアに向けながら、右手の薬指に着けた指輪にそっと魔力を流すのだった。




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