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【冒険者ギルドの特命執行官】  作者: 琥珀 大和
第二章 DE OPPRESSO LIBER
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第29話

溝に身を潜めて様子を見ていると、先ほどまでより煙の勢いが弱まった。


こういった時は要注意である。


今がチャンスと飛び出せば、待ち構えている敵の罠にはまってしまう。


来た道と反対側には人ひとりが余裕で出入りできる開口部がある。その先は崖ともいえる地形だが、外から迂回すればロープを伝って外部からの侵入は可能だった。


「そちら側から何人かが接近しているわ。」


ミオがその開口部を指さして言う。


「気配察知か?」


「ええ。こちらの世界に来て唯一備わった能力よ。」


こちらの世界では魔法や特殊な能力を持った者は珍しくない。


ただ、強力なものほど使い勝手が悪く、複数のスキルや魔法を使える者は威力や効果で劣る傾向にあった。


便宜上、人々はスキルやギフト、タレントなどと呼んでいる。信心深い者には神からの授かり物だともいわれるほど遺伝や後発的な作用との関連性が明確になっておらず、研究も遅遅として進んでいないそうだ。


以前より国や領単位で能力のある者を見極めたり、保護という名目で徒弟制度で取りこもうとする動きがある。


ただ、誰にいつ発現するかわからず、さらに備わった能力が使い物にならないレベルであったり、発現していても死ぬ間際まで気づかないこともあるほど曖昧なものなのだ。


魔法が使えるかどうかに関しては、魔力量の高低を測定して一定レベルの教育を施せば後発的に開花する。日常生活で役立つ程度のものなら習得することも比較的可能なのである。ただし、強大な魔物を討伐できるレベルともなると、発現割合は数千人にひとりくらいだろうか。


元の世界とは異なり、住民が数千人もいれば都市といわれるようなこの世界観では中々に貴重な人材に違いない。


因みに、魔法を軍事力として採用することはかなり難しかったりする。


強力な魔法は長い詠唱が必要となり、射程に関しても数十メートル程度のもののため馬で駆けて攻撃すれば発動前に潰すことができるからだ。


ゆえに、攻撃魔法は前衛職が引きつけてとどめの一撃として使う魔物討伐のための術としては重宝されるが、対人戦闘では非常に使いにくいのである。


俺が使う回復魔法に関しても、欠損部位の修復どころか骨折すら治すことはできない。せいぜいが自然回復力を加速させて裂傷や打撲傷を短期で治すくらいのものである。


もちろん、聖女や聖人と呼ばれる人物の回復魔法は神術と呼ばれるほど凄まじいものらしいが、実際に目の当たりにしたことはないため眉唾物かもしれない。





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