第27話
出てくるゴブリンを危なげなく倒し、最奥にまで行き着いた。
手前にちょっとした広場があるがそこはゴブリンの寝床として使われているため、三人で手分けして殲滅する。
同時に手振り指さしで指示が伝わることが確認できた。
俺が示したのはいわゆるハンドサインというもので、軍隊やSWATなどで共通して使われるものだ。
こちらの世界でも似たようなものがあるが、もっと簡易なもののためふたりには俺の素性がわかったはずである。
因みに、アメリカなどでよく使われる親指を立ててする「Good」というサインは、こちらの世界ではタブーだったりする。
アフガニスタンやイラン、ギリシャなどと同様に「クソ喰らえ」という侮辱する意味と取られる可能性があるので要注意だった。気の荒い冒険者などに使うといきなり刺されたりするため大変危険である。
俺の素性を知るヒントを再び与えたことにより、ふたりの態度は多少硬化した。警戒を強めたというわけではなく、どちらかというと俺の真意を測りだしたといったところか。
わざわざ遠回しに正体を知らせる意図がわかりかねるのか、不思議な表情を浮かべている。
そういった感情に包まれるのは俺も体験済みだが、同郷とはいえ敵か味方かわからずに接し方に窮するといったところだ。
味方ならば頼りがいのある相手となり、敵ならば危険人物でしかない。
特殊部隊の人間はひとりで歩兵数百人の戦闘力を有しているといわれている。もちろん、一対数百人の戦いに勝利することができるというわけではない。
赴いた任地でそこに暮らす者たちを鍛え上げ、一大勢力とすることが可能なのである。
それがこちらの世界ともなると、小さな国家を破滅に追いやるくらいの結果を生む。
互いにそういった存在なのだ。
ディレクとミオが何かを企んでいるとすると、第一に俺を取り込もうとする可能性が高かった。
勢力を築くには似たような知識と経験を持つ奴は多ければ多いほどいい。それに比例して人の育成や組織の規模は迅速に拡大するからである。
今の状況を考えれば、ふたりは一息ついた頃合いに俺との対話を望むだろう。
それが懐柔なのか敵味方の区別のためなのかはまだわからない。
しかし、これまでのふたりを見る限り、敵に回る可能性は極めて低いと俺の直感が告げていた。
すぐに信頼できる間柄になるのは無理だろうが、共闘できる相手ではあるはずだった。




