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【冒険者ギルドの特命執行官】  作者: 琥珀 大和
第一章 the Only Easy Day Was Yesterday
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第47話

「結果、私たちにはその施術以降の記憶がなく、気がついたらこちらにいたということよ。」


死亡したかどうかについては明確ではない。


しかし、極めてその可能性が高いということか。


「この世界がメタバースなら、チップを埋め込まれたことがことの始まりとも思えるけど、それだとバルドル人に姿が変わっていることに結びつかない。」


チップはあくまで記録のためだ。それが肉体が別のものと入れ替わってしまったのでは本末転倒となる。


「転生であると告げたのは誰だ?」


「バルドル人の巫女よ。」


本人たちはないというが、ひとつの可能性として頭の片隅に入れておいた方が良さそうだった。


俺がこの世界に来た時は何らかの施術を受けた訳ではない。しかし、突如意識が暗転して気がついたらこちらの世界にいたのである。


人種こそ変わらなかったものの、俺の場合は若返っているため似たような事象であるといえた。


「つまり、ミューフたちは当初メタバースであるこちらの世界にアバター、もしくはプレイヤーとして送り込まれると聞いていたということなのか?」


「そこまで具体的な説明はなかったわ。ただ、そういったニュアンスではあった。」


話を聞くほどに不可解な事象である。


時系列を見ても、双子と俺がこの世界で意識を取り戻した時期は年単位で異なるが、元の世界の最後の記憶にある年月は確認する限り近いものだった。


仮想現実だとは到底思えないが、もしそれが事実なら以前の生活に戻れるチャンスは高いのではないかと思える。


「ルナティック・シンドロームについても便宜上の表現なのか?」


「おそらくそうでしょうね。月は人を狂わせるというのは、古くよりヨーロッパ圈で考えられていた文化よ。反地球からの連想でそう呼んでいるだけじゃないかしら。机上の理論が好きな人たちが喜びそうなテーマだしね。」


このふたりと出会ったことで、それまで知る由もなかった情報が一気に流れ込んできた。


しかし、そのすべてが曖昧なものだともいえる。


必要な情報を整理し、重要度の高いものをランク分けしておく必要があるだろう。


それからも俺たちは様々なことについて情報交換を行った。


互いに腹の中に留めていたものを吐き出したともいえる。


それだけ、こちらの世界で過ごした時間は、秘密を抱え孤独に苛まれた時間だったのかもしれない。




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