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【冒険者ギルドの特命執行官】  作者: 琥珀 大和
第一章 the Only Easy Day Was Yesterday
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第21話

馬車を借りるなら、本来は冒険者ギルドと提携している馬車ギルドを利用するのが一般的だが、今回はなぜか交易所から借りている。


交易所は商人御用達のため、商業ギルドの組合員以外の利用はかなりの割高になるはずだ。足がつきにくいと思って利用したのか、もしくはバックに商人が絡んでいる可能性があった。


これに関しても、冒険者ギルドが裏付け調査を行うことになるだろう。他の支部とは異なり、冒険者が犯罪に関与した場合への予防策がしっかりとされているここでは、逆に他者の不正な関与も疑われることとなる。


それにしても、やはりカレンは優秀だった。


上の者が使えない奴なら部下はその範疇でしか仕事ができないものだが、トップとして辣腕を奮っていることで様々な面で良い影響が出ていそうである。


俺の本来の目的からすれば、ずっとこの都市で活動するわけではないのかもしれない。いずれ遠方にも足を伸ばす必要が生じる可能性すらあるのだが、今はカレンの優秀さに縋っておくことで活動しやすい状況にあった。


時間的に都市へと向かう馬車は多かったが、西方面に向かうものは少ない。先行する馬車を追い抜く手間がない分、時間の短縮につながりそうだった。




「ここにいるのね?」


バルドル人の双子の姉であるミューフが念押しした。


彼女たちはある人物を探して姉弟で旅を続けている。


差別や偏見などでどの都市に行ってもなかなか協力してもらえず、目的のための活動はいつも難航したといっていい。


ここでは来て早々に手掛かりとなる情報が出た。その情報元である冒険者は協力的で、こうやって依頼のついでだと言って現地まで一緒に来てくれたのである。


「ああ、ここで間違いねぇ。昨日からソロで潜っているはずだ。」


相手の表情には不審なものは浮かんでいない。


冒険者ギルドが協力的であればいいのだが、冒険者個々の状況などは規則で漏らすことができないと言われてしまうため仕方がない。


ただ、個人的に協力してくれるからといって、冒険者には警戒を怠れなかった。


何度か危険な目にあったことで信じる気にはなれない。


貞操の危機や命の危険など様々だが、バルドル人だからといって危険な所で盾代わりにされたり強い魔物を押しつけられるというものが多かった。


貞操の危機は弟のアドルも一緒だということと、バルドル人ということで少なかったように思う。それでもどうにかしようとしてくる奴らもいて、男どもの節操のなさに反吐か出そうだった。


普段は毛嫌いしているくせに、病気が移されるなどという噂などおかまいなしに迫ってくる馬鹿は少なからずいるのだ。





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