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【冒険者ギルドの特命執行官】  作者: 琥珀 大和
第四章 Who Dares Wins

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第26話

シェリーには冒険者ギルドに向かってもらい、調査員を寄越すよう伝言を依頼した。


襲われた側とはいえ、街中で殺傷沙汰を起こしたのだ。


衛兵が来る前に所定の段取りは済ましておくべきだった。


それに加え、膝を破壊されて横たわっている男への尋問も終わらせておく。


あまり気分のいいものではないため詳細は割愛するが、冒険者ギルドの調査員が到着する頃には男の四肢関節は外れていた。


追加で伝えておくと右手の指関節も三本ほど脱臼していたが、そのあたりはオマケのようなものだろう。


こういった場合、ふたつのパターンにわかれる。


ひとつは後で恨みをかって報復されないように永遠に眠らせるか、圧倒的な暴力で恐怖心を植えつけてしまう。そうしなければこちらや周辺の者の身が危ないからだ。


もうひとつは後の取り調べに支障がないように、比較的回復しやすい程度に痛みを感じてもらうことである。


今回は冒険者ギルドの調査部や、場合によっては衛兵たちの取り調べがあることを予測して後者を実行した。


得られた回答はミユという名前にはまったく反応せず、代わりにサルサ村の巫女という単語に明らかな動揺を見せたことである。


ただし、その動揺が何なのかは確証を得ることができなかった。


問い詰めると口から泡を吹き出して気絶したからである。


活を入れて一度意識を取り戻させたが同じ質問をするとまた意識を失ったため、それ以上の追求は諦めることにした。


どうやら彼らには『サルサ村の巫女』という言葉に反応し、その先を思考停止させる暗示のようなものをかけられているように思えたのだ。


この反応を見る限り、ミユの存在は思っている以上に面倒なものなのかもしれない。


「何か手伝うことはあるか?」


調査部の者を連れて来てそう聞いてくるシェリーに感謝しながら、好意には甘えることにした。


「業務外のことだが問題ないか?」


「別にかまわない。こちらも急ぎの仕事があるわけではないし、未必の故意状況に協力するという建前もあるからな。」


未必の故意というのは、明らかな犯罪行為が露呈していないが、その可能性を秘めている状態のことだ。


法律的な用語だが、我々冒険者ギルドに属する調査や捜査に関わる者の間では隠語のように扱われている。


今回の場合は目の前の男のことではなく、ミユに関することがそれに該当した。


「ありがとう。よろしく頼む。」


連絡係、有事のバックアップなど、やはりパートナーがいると余裕があるなと思いながら、素直に感謝を伝えた。




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