第8話
町はずれにあるというカティア教の拠点を探すことにした。
この辺りは先の方が河川となっており、橋も二ヶ所しか設置されていないためにあまり道行く人もいない。
住宅街を離れ、少し寂れた地域へとやって来た。
なるほど。
拠点とされている家が以前は商人の住居だったというのは、近くの川から荷を運べるからだろう。それほど水深も幅もない川だが、小さな船による運搬には適しているようだ。
敷地の裏手には川に面した所に倉庫があり、そのすぐ傍には桟橋が設けられていた。
今は使われていないようだが、厩舎まで備わっている。
「あの家に何か用かね?」
歩きながらそちらに視線をやっていると、向こうからやってきた老人がそう言ってきた。
老人の存在には早くから気づいていたが、関心があるかどうかを試すためにわざと視線を向けていたのである。
「ああ、冒険者をやっているんですが、拠点になる家を探しているんです。あそこなら広くても安いんじゃないかと思いましてね。」
「なるほどなぁ。でも、残念ながら今は借り手がいるようだよ。」
「そうなんですか?」
「数ヶ月前から得体の知れない連中が出入りしておる。いずれも白いローブを纏った男たちだ。近所の者は何者かと戦々恐々としておるわ。」
この老人は俺もその関係者ではないかと思って声をかけてきたのかもしれない。
「何か実害でも?」
「いや、まだ何も起こってない。あんた、興味がありそうだな。」
「冒険者ですから、何か仕事になるような話なら興味を持ちますよ。」
「ふん。最近ではその冒険者らしき奴らも、夜に訪ねてきておるよ。」
「冒険者が?」
「ああ、何のためかは知らん。週に一度か二度くらい、何人かで来るようになった。」
「騒音とかはないんですか?」
「それはない。静かなもんだ。まあ、余計に何をしているのか気になりはするがな。」
夜中に人が集まって騒音がない?
あの建物には地下にも部屋があるのかもしれないな。
「なるほど。貴重な話をありがとうございます。」
「あんた、冒険者ギルドに報告しといちゃくれんかね?」
「そのくらいお安い御用ですよ。」
「そうか。それじゃあ、頼んだぞ。」
老人と別れた後は、ぶらぶらと歩いて大回りで帰った。
あの家を調べるのは夜の方がいいと判断したからだ。
すでに冒険者が何名か巻き込まれている、もしくは自ら信者や仲間となったのか。どちらにせよ、詳細はこれから調べるしかなかった。




