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異世界に転職するなら  作者: どるき
ケースNo.3 相模カズト

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エピローグ

 帰宅後、歳下の彼は「急な仕事では仕方がない」とフェイトを慰めて、二人は次の休みに改めてデートに出かけた。

 どうやら精神病らしい相模のことは短期間では解決しないと判断し、次にフェイトが様子をうかがうのは一ヶ月後。

 流石に山登りをして、再び高弟の二人に喧嘩をふっかけられてを繰り返すのは嫌なので、今回はストラーストーンを使用して直接城に向かった。


「いらっしゃい。先生とカズトなら練武場にいるわ。送っていこうか?」

「前回行った場所ですし、今回は石の予備もたっぷりあるので自分で行きますよ」


 出迎えたレオナは慌てて服を着たのか、少し着衣が崩れていた。

 フェイトが遠慮するとそそくさと自室に戻ったようだが、同じ歳下の彼と恋愛関係にある女として彼女が何をしていたのか詮索しないだけの礼儀がフェイトにはあった。

 二度手間になったことにもボヤくこともなく練武場に転移すると、前回の来訪時に破壊したまま放置してしまっていた隠形石は修復されているようだが、中を隠す結界は解除されていた。

 中庭には相模を含めて多くの生徒らしき人影が並んでおり賑わっている。

 遠目に見る相模の顔は一ヶ月前とは見違えており、病んだ様子は微塵もない。


「おやおや、これはこれは」


 声をかけようとしたフェイトの気配に気づいたのだろう。

 合同練習の監督をユルゲンらに任せたトライバンがフェイトの元に顔を出した。


「お久しぶりです。相模さんの様子を見に来ましたが、あれからどうなりましたか? 見たところ元気そうですが」

「それはもう。居場所を得たことで精神が落ち着いたのでしょう。これで彼もこの世界に来た役目を、ようやく果たせると言うものです」


 トライバンが言うに相模は回復しており今や一ヶ月前とは様変わりしているようだ。


「それは何より。ところで……その口ぶりだと、トライバンさんは彼の役目を知っているのでしょうか? オーザムでは神から提示されるか否かに関わらず、あらゆる人間にプロットがついて回ると聞きますが」


 プロットとはオーザムという世界においてあらゆる人間を縛る宿命のこと。

 その中でも神からプロットの中身を開示されて、それに従った英雄譚を紡ぐことを強要される存在を、オーザムでは勇者と呼ぶ。

 フェイトはそれが何かは聞いていないが、異世界人であろうともブラフマンがオーザムに連れてくるように指示を出した時点で、相模にも何らかの大きなプロットが課せられているのは想像に難くない。

 もしかしたらフェイトのプロットは先日コキ使われた高弟たちと戦うことだったのかもしれない。


「さて? 流石に私も神ではありませんからね。もちろん知りません。ですが算術を用いて、今の状況から予測することは可能です」


 トライバンが言うに、今彼と一緒に指導を受けている人たちは、ツチダ国のニカワ・ガノダ王が水の魔王を討伐するために集めた冒険者崩れの傭兵だという。

 トライバンは彼らの教育をガノダ王から直々に依頼されたそうで、相模の教育にも丁度いいかと引き受けたのが今である。

 世界こそ異なるが相模も彼らとは反りが合うようで、彼らがツチダ国に帰る際には同行して、傭兵団に参加するつもりだという。

 どうやら幼き日の相模が憧れたヒーロー像に見合う傭兵の姿が彼らの中にあったようだ。

 以降、相模の人生の多くは水の魔王との戦いに注力される。

 この戦いこそが彼に課せられたプロットであり、彼がいくら思い詰めても逃げ出せない星回りにあった理由なのは言うまでもない。

 相模と傭兵たちが打ち解けた時点で、トライバンはこの未来を予測していた。

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