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夜空だけが知っている  作者: 李月スモモヅキ
2/2

episode2 理解

二話目です。

井上さんと付き合い始めた侑くん。しかし女心が難しすぎて自分に恋愛は向いてないことを自覚する。

次回、「偽物の僕」乞うご期待。

 目の前で女の子が泣いている。僕はそれを見て何も出来ずにただ呆然と立ち尽くしている。

「どうしてそんなこと言うの……? わたし、侑くんの彼女なのに」

「彼女とか、そうじゃないとか、そんなの関係ないよ。そういうのには優先度っていうのがあるものでしょ?」

「優先すべきはこっちのはずでしょ!? 恋人と友達なんて天秤にかけなくても分かることなのに!」

「……わかんないよ」

 事の発端は、僕が休日に友達と映画を見に行く予定を立てていたこと。それと同じ日に、一応恋人同士である井上さんにショッピングに行きたいと誘われた。僕がその日は友人との予定があることを伝えると、彼女は泣き出してしまった。

 恋人なのに他の人との予定を優先させるなんて酷い、と。

 ……困ったなぁ。

「だって、先に約束してたことを断るのは相手に失礼だよ……」

「それは友達同士の関係の場合でしょ!? これが家族と食事をする予定になったら、友達との約束は断るのが普通じゃない? 恋人の約束だって、たとえ順番がどうでも、友人との約束よりは大事ってものなのが普通だよ」

「家族は家族でしょ。友達と恋人は……結局赤の他人だもん。優先順位だって結局」

 ぱん、と乾いた音、じんじんする頬、ぼろぼろ泣き崩れる女の子。

「もう知らない……!」

「うん」

 そのまま逃げていってしまったので、僕は何もせずただぼんやりと立ち尽くしていることしか出来なかった。


「そういうわけだから。ごめん。ちょっと気まずくて行きにくいんだよね」

 その後、やっぱりそんなやり取りがあってから約束通り遊びに行くのはやっぱり気まずくなって、友人に断りの電話を入れた。

「まぁ、たしかにそんなトラブルがあったあとじゃあ、来にくいよなぁ。いいよ。その代わり、彼女に詫びの電話入れとけよ」

「えっ」

「え? そのために断ったんじゃねーの?」

「まさか。あの子が別れるって言ったからもう別れたよ」

「そりゃお前……追いかけてくださいってサインだろ」

「なにそれ」

 電話越しに、友人は恋の駆け引きがなんだかんだと僕に語って見せたけれど、僕には理解し難いことばかりだった。

 好きなのに恥ずかしいから強気でぶつかる。好きだからこそ自分だけを見て欲しくて……とかなんとか。

 好きなのに?好きだから?

 「なのに」「だから」の先が繋がらない。

「好きなら、素直になればいいのに」

「それが女の子ってやつなんだよ。難しいけど、かわいいもんだよね」

「……わからん」

 友人は僕のことを「イケメン」だとか「モテる男」だとかと称して羨ましがるけど、何1つよく分からなかった。

「なんでモテたいの?」

「そりゃあ、たくさんの女の子に尊敬の視線を向けられるのは心地よいの一言に尽きるだろ」

「好意を向けてもらえること自体は嬉しいけど……」

「だろ? そういうことだよ」

 どういうことなんだろうか。

 ……恋とか愛とか好きとか嫌いとか付き合うとか恋人とか。……僕にはわからないことだらけらしい。

 その時僕が学んだことは、「恋愛事情」は来るもの拒まず去るもの追わずでは相手を傷つけることになる……らしい。

 ……僕には恋というものは向いていないんだろうな。

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