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おいぬちゃま

作者: 激アツ姫

床の冷たさで、目が覚めた。

「…………?」

何故ここにいるのか?一切の記憶がない。

俺は今日、吉良さんちで赤穂浪士のバイトをしていたはずだ。


身体を起こすとこの部屋の全容がわかった。

全面真っ白な、ちょうど学校の教室くらいの大きさで、正面の壁にテレビがかけてあった。

あと、30匹チワワがいた。


「なぜチワワが……!?」


チワワ達は座っておとなしくしていたり、2匹でじゃれあったり、ひたすら走り回ったりとまあなんというか普通の犬の行動をしていた。


埒が開かないので、試しにチワワに話しかけてみる。

「こんにちは!あ…………こんチワワ!なんつって……ハハハ」


応答はない。


「誰かー!いないのか!?いたら返事してくれ!!ここはどこなんだ!」


応答はない。


目が覚めてから、体感で2時間弱が経っただろうか。

とりあえず人間は俺一人のようだ。

俺は途方に暮れていた。

立ちはだかる混沌。今となっては現実が恋しい。

チワワ達は相も変わらず元気に走り回っている。

暇なのでチワワとじゃれてみたが、それだけだ。


すると突然、壁のテレビに誰かの上半身が映し出された。

顔は見えない。


“フッフッフ……目が覚めたかい、チワワの諸君!!”


色々と言いたかった。

まずとっくに目は覚めているし、俺はチワワではない。


「誰だお前!てか、ここから出せ!」


“フフ……威勢のいいことだ。その態度がいずれ自分の首を絞めることのないようにな!”

「いや、だから誰なんだよお前!」


“私はゲームマスター。あるいは創造主。あるいは神。いや、君たちの言葉で言えば「バイトリーダー」かな?”


「なにッ!!」


“まあいい。今日ここに集まってもらった諸君らにはちょっとしたゲームをやってもらおうと思う。”


「ゲーム?俺とチワワで?どう考えても無理だろ!!」


“フフフ……今更怖気づいたところで、もう遅い。このゲームは君たちチワワの、命と命を賭けたデスゲームなのだから!!”


「デス……ゲーム!?」


“最後の一匹になるまで競い合ってもらうぞ。はい、まずはこれ。全然知らない漁業組合に加入してもらいま―――す!!”


「エ――――――ッ!!」

書類とペンが俺とチワワ達に配られていく。


「ま、待って!チワワって文字かけるんですか!?」


“チワワを舐めすぎだぞ!私とて……”


カメラワークが上に移動していく。

そしてついに奴の顔がテレビに映し出された。


“チワワだ!!”


「お前もか!!やっぱりチワワのチワワによるチワワのためのデスゲームじゃねーか!!俺をここから出せぇい!!」


“やーだね!観念するんだ!!”


「くぅ〜」



俺の予想に反し、チワワ達は普通に自分の名前と性別、メールアドレスを記入し始めた。

驚愕だ。俺はチワワを舐めすぎていたようだ。

しかし問題は、最後の項目。

[ポメラニアンですか? Yes□ No□]


俺は少なくとも違う。

しかしチワワ達がこれに引っかからないかどうか……。

この数時間の間に俺とチワワ達の間には友情が生まれていた。


「皆!わかっているとは思うが、最後の項目には気をつけろ!皆はポメラニアンじゃない!チワワだ。間違えるなよ!」


チワワ達は黙々と書き続け、項目を埋めた。


“記入は終わったかい?”


「ああ、終わったさ。さあ、皆!書類を僕へ!!」


自分の分も含めチワワ達の書類を回収する。


「これで全部だ。」


すると突然、テレビの下の壁からコピー機のトレーのようなものがせり出してきた。


“では、集めた書類をそこに置くのだ。”

俺は指示通りに、書類をトレーに置いた。


書類をトレーに置くと、トレーが壁に収納された。

中から何やら機械の動く音がする。


それから数分経つと、音が止んだ。

“…………フフフフフフフ。残念だ。”


「終わったのか?てか、残念ってなんだ?」


“いやいや、本当に残念だ。もう一度書類を見たまえ。”


「何……?ッ!!まさか!!」


俺はトレーを引き出し、すべての書類を確認した。



Yes


Yes


Yes


Yes


チワワ達は全員、最後の項目でYesにチェックを入れていた。

「お、お前らッ……!なんで!?なんでだよ!?」


応答はない。


「なんでなんだよォォォォ!!まさか……裏切ったのか!!」


応答はない。

俺にはチワワ達が笑って見えた。



“では………………全員、敗退だ。さようなら。”


突然、部屋の四隅から管が突出した。


「な、なにをするんだよ!!やめろ、おい!俺を出してくれ!!俺はチワワでもポメラニアンでもないぞ!!」


“いいや、お前はポメラニアンだ。”


管からクリーム色のガスが勢いよく噴出し始めた。


「嫌だ……!嫌だぁぁぁぁぁぁ!!出してくれよ!!助けて誰か!」



気付くとチワワ達は全員倒れていた。


そういえば、何だか意識が朦朧としt








気付くと、僕は白い部屋にいた。

部屋には何故か31匹のポメラニアンがいて、テレビが壁にかけてある。


テレビの電源が付き、部屋に声が響く。


“フッフッフ……目が覚めたかい、ポメラニアンの諸君!!”




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