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今年もやってくる  作者: 鬼瓦熊吉
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今年もやって来る 転居

 あんまり乗り気ではなかったんだがな。


 だけど父ちゃんが転勤なら仕方がないではないか。


 僕は昭。小3だ。1人っ子だが人間関係は良好だぞ。


 問題は両親だよ、二人ともあまり頭がよくないのだよ。だけど真面目だ。


 別に転校しても問題はないと思う。


 転居先は母ちゃんの実家の近くだから、住居は確保されている。


 「何だか今度の家はボロイらしいぞ」


 「だからお父さんに頼むのはやめろと言ったじゃない。常識が通用しないのだから」


 「俺、ボロくてもマンションの方が良かった」


 「だけどペット可だからな。猫飼おうな」


 その一点で惹かれたんだよ。


 夏休みに入ったばかりだからな、海水浴をしながらゆっくり帰った。知能の差はあるけれど、この辺で一致するのが家族なんだな。


 想像以上にボロかったこの家。リフォームが中途半端なのだよ。


 ただな、破格の家賃らしくて。もう俺の言うことではないよな。


 何だかな、平屋の一戸建てだてというものは居心地が悪い。


 だけど庭は広い。じいちゃんたちが植えてくれたキュウリとナス元気よく成長しているし。


 そんな日々の変化を見ているとこの生活もいいかと思うようになった。


父ちゃんは張り切って転勤先の工場に行った。物事を深く考えないからな。


 工場に野良猫がいて子供を産んだそうな。さっそく明日貰って来るというのだが。


 俺も一緒に選びたかったな。だって父ちゃん美意識ないんだもの。


 とんでもないものを引き取ってくる可能性があるんだよ。


 野良猫は五匹の子供を産んだそうな。そのうちの一匹だけが父ちゃんの顔を見て泣いたそうで。


 父ちゃんは運命の出会いだとか言っているけどただの偶然じゃない。


 まあ、器量はそこそこだけれど。目に力があって、頭は良さそうだ。


 「名前はピリカにしたからな」


 「父ちゃん、普通名前は家族で選ばない」


 「だってひらめいたのだもの」


 「父ちゃん何か北海道に思い入れがあるの」


 「何だそれ」


 要するに何も考えていないのね。


 翌日はトイレの設置とか色々大変だった。トイレはベランダに設置するというのだもの。


 あり得ないだろう、野良猫の子は野良猫なんだよ。速攻で逃げたよ。


 まあ、あまり情が移っていなかったからいいけれど。


 何だかガックリ。明日は父ちゃんに文句を言おうと思っていたのだけれど。


 夜電話があって、交代要員の社員が病気になって元の工場に呼び戻された。


 どこまでも運がいいんだな。


 


 


 

 


 



 

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