第19話 真実
「っ! ……いてっ」
勢いよく上体を起こすと後ろのフェンスに思い切り頭をぶつけた。
痛いがお陰で目は覚めた。
俺は大きく息を吐き出す。こんな夢を見たのは何年ぶりだろうか。
鈴に六年前のことを聞かれたから──というのもあるが一番の原因は夢奈だろうな。
夢奈が元気ないとどうも調子が狂う。
六年前の事件は俺──いや、俺達にとって忘れたくても忘れられない事件だ。
当時は色々といっぱいいっぱいで、事件の詳細を知ったのは事件から三年ほど経った頃。
なんでも、《実体化》出来るほどに力があるはずの《魔の物》が《実体化》せずにそのまま力を蓄え続けた結果、《巨大化》して暴れ出す──という異例の事態になった──ということらしい。
死者や怪我人もかなりの数になった、という話だ。
当然、そうなっては今まで隠されてきた《魔の物》や《退魔師》について公表しないわけにも行かず、当時はかなり大騒ぎだったらしい。
俺も夢奈も両親に捨てられたショックで精神的にいっぱいいっぱいだったし、世間がどうだとか気にする余裕なんてなかったけど。
俺はもう一度息を吐き出す。
今思い出すと、おかしなことだらけだ。
両親はあの日、あの時に、《魔の物》が暴れ出すのがわかっていたんじゃないかと思っている。
あの突然現れた黒服の男も、呆気なく投げ飛ばされた両親も、全部仕組まれたものなんじゃないかと。
夢奈の身体にどうして《魔の物》が侵入していったのかは未だに謎だ。身体に影響はなかったみたいだけど。
真相を知りたくない、と言ったら嘘になるが、知っているであろう両親は今どこにいるのかわからない。いや、そもそも生きているのかどうかすら不明だ。
つまり考えるだけ無駄。俺もあまり思い出したくはないし。
ポケットからスマホを取り出して時刻を確認。もうすぐ昼休みか。俺は固まった身体を伸ばす。
六年前の事件よりも目の前の夢奈だ。
やっぱりなにがなんでも聞き出そう。今の夢奈の状態は俺の精神衛生上大変よろしくない。
そして今は夢奈の様子が気になりすぎて軽く目眩がする。マジで一定以上離れると駄目らしい。
本鈴が鳴るのを待って、それから俺は教室に戻った。
◆ ◆ ◆
放課後。しろは昨日と同じく先に帰ってしまっていた。
俺はまだ席でぼんやりしている夢奈に声をかける。
「帰らないのか?」
「……帰りましょう」
夢奈は苦笑を浮かべながら立ち上がり、俺の服の裾を控えめに掴む。
俺はそれを強引に引きはがして、強引に手を繋いだ。
夢奈は驚いた顔をして、次に嬉しそうに表情を綻ばせると繋いだ手にぎゅっと力を込めた。
「……お兄ちゃん、大好きです」
「ん。じゃあ帰るか」
手を繋いだまま学校を出たところで、スマホが音を鳴らす。
思わず顔をしかめながら取り出して画面を見ると、藍香ねぇからのようだった。
「もしもし?」
直ぐに出るが返事がない。
「藍香ねぇ?」
『……急で申し訳ないんだけど、話があるの。今から東公園に来てもらえないかしら?』
「? わかった」
『それじゃあ待ってるわ』
「おう」
電話を切って、スマホをポケットに突っ込む。
「お兄ちゃん?」
夢奈が不安げな瞳を俺に向ける。
「藍香ねぇが、なんか話があるから東公園に来て欲しいんだってさ。行ってみるか」
「……はい」
その返事はやっぱり元気がないようだった。
◇
東公園は藍香ねぇの──というか俺の親父の実家である、七風本家の直ぐ近くにある古びた小さな公園だ。
砂場にブランコ、シーソーと言った遊具があって、どれもかなり古くからあるのが見た目でわかる。
東公園にある、大きな桜の木の下に黒いスーツを身につけた藍香ねぇがいた。タイトスカートにざっくりとスリットが入ったものだ。
俺達の姿に気付くと、どこか戸惑ったような笑みを浮かべた。
「藍香ねぇ、話って何だ?」
「……六年前のことよ」
夢奈が大きく身体を跳ねさせる。俺も軽く目眩を覚えながら、夢奈と繋いだ手に力を込めた。
「なんで今更その話?」
「……手段を選んでいられる状況じゃなくなったからよ」
言葉の意味がわからず俺は思わず顔をしかめる。
「どういう意味だ?」
藍香ねぇは答えるつもりはないらしく、大げさに肩をすくめてみせる。
「やっぱり、イズモくんは聞いてないんでしょう?」
「聞いてないって……なにをだ?」
「だから、六年前のこと」
夢奈がまた大きく身体を跳ねさせる。繋いだ手は小さく震えていた。
視線を向けると夢奈は俯いてしまっていて、表情はわからない。
「……もしかして、昨日しろと話してたのってそれだったのか?」
夢奈は答えない。
「ていうかなんでしろが……」
「その辺りは後々説明するわ。とりあえず、貴方も知っておいた方がいいと思うわ。六年前の真相」
俺が返答に困っていると、夢奈が突然顔を上げて俺の手を引っ張る。
「そんなの今更知る必要ないですよ。お兄ちゃん、帰りましょう。今日は夕飯にお兄ちゃんの好きなもの沢山作りますから。だから、帰りましょう」
知られたくないのだというのは直ぐにわかった。俺に知られたくない真相というのは気になったが、夢奈が嫌がっているのに知りたいとは思わない。
「……そうだな。本当に今更だ。だから、俺達は帰るよ」
藍香ねぇが盛大にため息をつく。
「悪いけど、貴方には聞いてもらわなくちゃいけないのよ」
笑ってるのに泣きそうで、無理して笑顔を浮かべているのがバレバレな、痛々しい笑顔だった。
「帰りましょう、お兄ちゃん。ね? ほら、早く行きましょう」
夢奈が俺を見上げながら腕を掴んで揺する。
「お、おう……」
動揺しながらそう返して、歩き出そうとした瞬間──
「貴方たちが捨てられたのは夢奈ちゃんが原因なのよ」
藍香ねぇがぴしゃりと、抑揚のない声で言い放つ。
目を見開きながら藍香ねぇを見ると、彼女は無表情で俺達を見ていた。
「いやっ! いやですっ! いやいやいやいやぁああああ!」
夢奈は首を振りながら俺の手を振りほどくと、耳を押さえてその場にうずくまってしまう。
「ゆめ──」
屈もうとした瞬間に、目にも留まらぬ速さで近づいてきた藍香ねぇに胸ぐらを掴まれる。
思考が追いつかずにぼんやりとしていると、藍香ねぇは素早く俺の懐に、ブレザーやズボンのポケットに手を突っ込んで持っていた《札》を回収した。
「なにすっ──」
言い終える前に藍香ねぇは俺をぐいっと引っ張って桜の木に向かって投げ飛ばす。
やはり既に強化済みだったらしく、呆気なく俺の身体は飛んで木に叩きつけられた。それとほぼ同時に俺の視界に《札》が入る。
《札》は俺の目の前で縄に形状を変化させると、ぐるぐると、二の腕辺りに縄が巻き付き、木に固定された。
腕を動かし上体を前に倒し、身体を捻ろうとしてみるが、全くびくともしない。
「夢奈っ!」
夢奈は未だに耳を塞ぎながらいやいやと首を振り、身体を震わせている。俺の言葉も届いていないようだ。
俺は小さく息を吐き出して藍香ねぇを睨み付ける。
「随分と手癖が悪かったんだな」
「あら? もしかして、私に体を弄られて興奮しちゃった?」
挑発的にそんなことを言われて俺は思わず苦笑を零した。
「そんな訳ないだろ。それで……藍香ねぇ。なにが目的だ?」
藍香ねぇは無表情で俺と夢奈を見比べて、口を開く。
「話があるって言ったでしょう?」
「だからって、ここまでする必要ねぇだろ!」
「必要なのよ。邪魔されないために。……話を戻すわね」
仕切り直すようにそう言って、藍香ねぇは話し始める。
「イズモくんも気付いていると思うけど、六年前のあの日、貴方たちがあの場にいたのは偶然でも何でもない。仕組まれたものよ」
藍香ねぇの声音は酷く冷たく、淡々としたものだった。
「あそこに力を蓄えた《魔の物》がいるのはわかっていたけど、潜んでいる場所がわからなくて《退魔》することが叶わなかった。そうして手を拱いている間にも《魔の物》は《負の感情》を吸収してどんどん力を付けていく。だからもう、手段を選んでいられなくなった。無理矢理引きずり出すしか、それしか方法がなかった」
「それと俺達があの場にいたことになんの関係があるんだよ!」
「稀にね、憑かれやすい人間がいるのよ」
「憑かれやすい……?」
「言葉の通りよ」
「《魔の物》が憑依することがあるっていうのか? そんなことあり得ないだろ。《実体化》したら《退魔師》だったら触れるようになる。《影の存在》ならともかく、《魔の物》が人に憑依するのなんて無理だろう」
「ええ、その通りよ。憑依するのは《影の存在》の《魔の物》よ」
「そんなの……」
あり得ない、とは言えなかった。
《実体化》していない《魔の物》に害がないのは、物や人に干渉できないから──というのもあるが、一番の理由は《自我》がないからだろう。
六年前、夢奈の身体に入り込んでいった《魔の物》は確かに《実体化》していなかった。
なのに物や人に干渉できた理由は不明だが──とにかく、《影の存在》のはずなのにあれにははっきりと《自我》があったように思える。じゃないとあんな風に暴れるわけがない。
そんな風に《自我》を持った《魔の物》が《憑依》する、というのは、確かに有り得ないことではないのかもしれない。
「六年前のあれは本当に《実体化》してなかったのか?」
「《実体化》していたし、していなかった。《魔の物》自身の意思でどちらにでもなれ、部分的にそれを変えることも出来るぐらいに力があったのよ」
確かにそれならあの状況の説明がつく。
俺はもう一度腕に力を込めてみる。やっぱりびくともしない。
夢奈は耳を押さえたままぐったりとして動かない。
「《魔の物》についてはわかったけど、それが何だって言うんだ! ああもうくそっ! マジでびくともしねぇ!」
藍香ねぇは俺の様子を眺めながら小さくため息をついた。
ちらりと夢奈の様子を確認して、話を続ける。
「七風家の人間は結構な確率で憑かれやすい人間が生まれてくるのよ」
「夢奈がその憑かれやすい人間だって言うのか……?」
「当時はもしかしたら貴方たちのどちらかが、って考えだったみたいだけど。事実はそうね」
理解したくなかった事実に俺は唇を噛みしめることしか出来ない。
「……親父達は俺達を餌に使ったってことかよ……!」
「そういうことね。もっとも、憑かれるとか憑かれないとか言う話自体が都市伝説のようなもので、その手の記述はどこにもなかったから、一か八かの賭けだったみたいだけど。結果は、火のないところに煙は立たない、夢奈ちゃんは憑かれやすい──いわば《魔の物》が好む体質で、《憑依》するために《魔の物》は姿を現した、ということね」
夢奈はなにも言わない。俺も唇を噛みしめて俯くだけで、何も言えない。
「七風家に伝えられてる都市伝説にはもう少し続きがあってね。憑かれやすい人間の側にいると不幸になるらしいわ」
顔を上げて藍香ねぇを見ると、冷たい目線を地面に向けていた。
「そんなこと、あるわけないだろ!」
「ええ、あり得ないわ。でも、貴方たちの両親はそれを信じた。だから捨てた」
ぴしゃりと、冷たく言い放つ。
藍香ねぇってこんなに冷たい人間だったかな……。情けなくも俺も泣きそうになっていた。
「ごめんなさい」
夢奈がぽつりとそう言った。
「夢奈……?」
「ごめんなさい、ゆめが、ゆめがいたから……ごめんなさいっ」
「なんで謝るんだよ! 謝ることなんかなにもねぇだろ!」
俺が叫ぶようにそう言うと、夢奈は耳を塞いでいた手を頭に置いて、頭を抱えるようにしながら首を振る。
「し、しろから聞いたんです。ゆめがわがままだから、子供だから、お兄ちゃんはすごく不幸なんだって。お兄ちゃんは優しいから言わないだけで、出さないだけで、苦しんでて、鬱陶しくて、すごく、不幸なんだって……」
なんだってしろがそんなこと……!
「そんなでまかせ信じるなっての! 俺は不幸だなんて思ったことねぇよ! ずっと幸せだよ!」
「でもでもでもっ! 今日、しろが言ってたんです! お兄ちゃんはしろのことが好きだって! 昨日、はっきり、そう言われたって!」
確かに事実ではある。だからなにも言い返せなかった。なんて返せば良いのかわからなかった。
しろは一体なんでそんなことを……? どうして……!
「……本当、なんですね」
顔を上げて真っ直ぐに俺を見る夢奈の顔は、無表情だった。
機械的にぺたんと座り込む。だらりと腕を投げ出し、こくんと顔を上向かせる。
「ゆめはずっとお兄ちゃんが大好きです。お兄ちゃんも同じように大好きなんだと思ってました。でも、それは思い込みで、自惚れで、本当は全然そんなことなくて。ゆめ、バカみたいですね。お兄ちゃんに愛してるって言われて、一人で浮かれて。それなのになのに、なのに……」
「ゆめ──」
「やだやだやだやだやだやだ! お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん──」
まるでなにかが壊れてしまったかのように、夢奈は俺を呼び続ける。光のない目で、虚空を見つめながら。
「夢奈! ……夢奈っ!」
身をよじりながら藍香ねぇを見ると、泣きそうな顔で夢奈を見つめていた。唇が小さく『ごめんなさい』と動く。
なにに謝ってるのかはわからない。もしそれが夢奈に向けてのものならさっさと縄をどうにかして欲しい。
「……きたわね」
藍香ねぇが六年前の、黒服の男と同じ事を呟く。藍香ねぇが見ている方向に視線を向けた瞬間、俺の頬を嫌な汗が伝う。
真っ黒いヒョウ──のようのものが夢奈を見据えていた。
以前見た夢のまんまの姿だ。笑えない。
俺は脚を踏ん張って前のめりになりながら腕に力を込める。
みしみしと嫌な音がする。縄が食い込んでめちゃくちゃ痛い。それでもやめない。やめられない。
「夢奈、逃げろ! 夢奈!」
俺の言葉は届かない。
「藍香ねぇ! あれは《魔の物》だろ!? 早く《退魔》してくれ!」
藍香ねぇはなにも言わない。動かない。訳がわからない。
「藍香ねぇ!」
藍香ねぇの拳に力がこもる。
「無理よ。あれは《影の存在》。《退魔》することは出来ない」
藍香ねぇは淡々とそう言って唇を噛みしめる。
ヒョウが動き、夢奈に覆い被さる。
ばたりと夢奈が倒れると、ヒョウは──《魔の物》は六年前と同じように口腔内から夢奈の体内に侵入していっているようだった。
俺は頭が真っ白になりながらも足を踏ん張り、腕に力を込める。痛いのかどうかももうわからなかった。
藍香ねぇに嘘を言っている様子はないし、俺にもあれは《影の存在》に見える。だとしたら藍香ねぇの言う通り《退魔》することは出来ない。
なにが出来るかなんて分からない。なにも出来ないかも知れない。それでも黙って見てるのだけは嫌だった。夢奈は、なにがあっても俺が守るって決めたんだ。
「夢奈ぁぁぁぁぁああああああああああああああ!」
叫ぶと同時に縄が切れる。それと同時に俺は地面を蹴り、藍香ねぇと距離を詰める。
「なっ!?」
動揺した様子の藍香ねぇのポケットから《札》を抜き取り、素早く《念》を込めて両手両足を強化した。
そして《魔の物》を蹴り飛ばす。
完全に《影の存在》だった訳ではないらしく、《魔の物》の身体は俺が蹴った方向に飛んでいく。完全に侵入させることは免れたようだ。
《魔の物》はぐにゃぐにゃと形を変え、夢奈の姿になった。
距離を詰めて拳を振り上げていた俺は動揺して動きを止める。
本物の夢奈はぐったりと地面に倒れ臥している。視界でもこいつが偽物だという確認は出来る。
それでも夢奈の姿をしたこいつを殴り飛ばすのは躊躇してしまう。
だけどそういう訳にも行かない。
俺は目を瞑って、そいつを殴り飛ばした。
目を開けて状況を確認すると、《魔の物》はまたぐにゃぐにゃと形を変え、ヒョウの形状に戻った。
「がるるるるるっ」
威嚇しながら《魔の物》は俺に向かって勢いよく駆けてくる。
俺は右足で蹴り飛ばそうとするが──《魔の物》は素早く俺の蹴りをかわして腹に頭突きを食らわす。
「かはっ」
咳き込みながらも俺は《魔の物》を掴もうとした──が、掴めなかった。
俺が動揺している隙に《魔の物》は俺から距離を取る。
掴もうとしたとき、それは避けられたわけではない。恐らく、こいつも六年前のヤツと同じように曖昧な存在で、自身の意思で《実体化》した存在にも、そうじゃない存在にもなれるのだろう。
厄介だな。
《魔の物》はもう一度俺に向かって駆けてくる。
俺は攻撃が当たるぎりぎりのタイミングで《魔の物》を掴み、膝蹴りをくわえる。
今度は手にも脚にも当たった確かな感触があった。
そのまま《魔の物》を桜の木目掛けて投げ飛ばし、たんっ! と地面を蹴って距離を詰める。
「うぉぉぉおおおおおおりゃぁぁぁぁぁぁああああああああ!」
雄叫びを上げながら脚をぶん回して《魔の物》を木に叩きつける。
《魔の物》はぐにゃぐにゃと形を変えながら地面に落ちる。
「藍香ねぇ《札》!」
藍香ねぇはなにも言わずにおれに《札》を投げつける。それを受け取り、素早く《札》に《念》を込めた。《札》は刀へと形状を変化する。
起き上がった《魔の物》が大きく口を開けながら俺に襲いかかってくる。俺は寸前の所でそれを避けると、刀で《魔の物》の身体を真っ二つにする。夢奈に《憑依》しようとしたときに大分力を使っていたのか、《魔の物》は断末魔の叫びを残して消え去った。
俺は小さく息を吐き出して、
「夢奈っ!」
叫ぶようにそう言って夢奈に駆け寄る。その場で屈み、夢奈の上体を起こす。夢奈はぐったりしたまま動かない。
「……大丈夫よ。死んだりはしないわ」
「そんな言葉、信じられるわけないだろ!」
「……ごめんなさい。とりあえず、話をするにもここじゃあれでしょ? ついてきて」
藍香ねぇのことはあまり信じられないが、どうすればいいのかもわからない。
俺は夢奈をおぶって、藍香ねぇと共に七風本家に向かった。




