何気ない言葉とその影響
人が生きているうえで何気なく口にすることがある言葉。
しかし、何気なく口にしたその言葉が文字通り重大な事柄に発展する可能性があることを忘れてはならない。
例えば、貴方がバイトをしていたとして、長時間の立ち仕事で疲れていたとする。
足は痛いし休憩時間もロクにない。そして大声の「いらっしゃいませ!」連呼で喉はカラカラ、正直すぐにでも休みたい、と言う状態だ。
そして、疲れ果ててしまってつい「しんどい」「やめたい」などと「本心では無かったとしても」仕事中に口走ったとしよう。
運悪くこの発言をバイトの上司――――店長に聞かれてしまったらどうなるか。
ほぼ確実に、次の契約更新の際に貴方の首を切られる確率は跳ね上がるだろう。
相手からすると「しんどい」「やめたい」などの言葉が本心かどうかは分からないのだから。
ただ、その発言を口にしたときに、見るからに疲れた様子でそんな言葉を口走っていたなら、確実に首を切られる確率が上がる事だけは覚えておいたほうが良いだろう。
何故「本心ではないのに」その言葉を聞かれたらそうなってしまうと私が考えたか。
簡単な理由である。
このバイトが仮に接客業――――コンビニの店員だったとしよう。
貴方が客としてやってきたとあるコンビニの店員が、見るからに疲れ切った表情で「あ~しんどい」「やめたい」などと呟いている姿を見て、再びその店に行きたいと思うだろうか?
お昼ご飯を食べようと外食のチェーン店に入ったとして、入口のレジ係が魚の死んだような目で「疲れた……」と言っているのを見てこの店は大丈夫だと思えるだろうか?
とてもそうは思わないだろう。
少なくとも私はそうは思わない。
そして、店長は当然だがより収益を上げるのが仕事なのだ。
そんな見るからに店の売り上げを下げそうな人間を置いておくわけにはいかないだろう。
店の雰囲気やイメージは悪くなるし、そんな奴を置いておくくらいならば新しい人間を雇い入れる。
アルバイトの代用品なんて探せば山ほどいるのだから、一人入れ替えたところで別に痛くもかゆくもないのだ。
言い方は悪いが、特別な地位の人間以外はいくらでも取り換えが効くようにできているのがこの社会である。
パートもアルバイトも、要らない人間はすぐにでも取り替えて新しい人間に代えられるのだから。
さて、ここまで現実世界で言葉とその影響について話してきたが、これは何も現実世界に限った話ではない。
次はインターネットの世界で見てみよう。
なろうを含め、様々なサイトでの活動報告、そして大小様々な掲示板サイト、個人ブログ。
言葉を残せる場所は数えきれないくらいにたくさん用意されている。
さて、今度はインターネットの掲示板に何かしらの書き込みをした、という前提で考えてみよう。
現実世界で非常に苛々した貴方が「平成○年○月○日の○時○分に○○で○○を刺し殺してやる!」と殺人予告をどこかの掲示板に書いてしまったとする。
もちろん貴方自身にそんな事をやる意識は一切なく、むしゃくしゃして書いてしまっただけだ。
相手の人間があまりにむかつく人間で、常日頃から小言ばかり言われ、ずっとストレスを溜めこまされていた、としよう。
しかし、この書き込みはもはや冗談では済まなくなる。
指名された相手を刺し殺してやる! とネット上で宣言してしまったことで、これは立派な犯罪予告となってしまったのだ。
その事に気づいた貴方が慌てて自分の書き込みを消そうとしても、ネット世界では一度書きこんだ言葉は凄まじい勢いで拡散する。
ネット上ではあちこちにコピーされた犯罪予告が貼り付けられるだろうし、現実世界でも場合によってはニュースになるし、警察が本当に動き出す事だってある。
貴方はもはや、むしゃくしゃして掲示板に書き殴った人では無く、殺人予告を書いた犯人になってしまうのである。
安易な気持ちで言った、書いたその言葉。
場合によっては取り返しのつかない事態を招きかねないのだ。
貴方が思っている以上に、貴方の言葉は周囲に影響を与えることがある。
このケースのように取り返しのつかない事態を招くことだってあるだろう。
忘れないでほしい。
貴方自身がどう思ってその言葉を発したのかは知らないが、受け取る側は貴方のその言葉の裏にある貴方の思いなど一切分からないのだから。
ここまで深刻な発言でなくても、それまで上手く行っていた人との関係が一瞬で崩壊し、修復不可能な状態になってしまうことだって、十分にあり得るのだから――――。
お読みいただきありがとうございます。
取り返しがつかないという言葉がありますが、このエッセイの中に出てきたケースはまさにその言葉通りです。
ここまで深刻な内容でなくても、貴方のその言葉や書き込みで周りに与える影響を、発する寸前に一度でいいので考えて頂けると何よりです。
取り返しのつかないことは本当に沢山あるのですから……。




