2.迷いを耐えて
マナブのいない日常がやってきた。
彼とは友達期間も含めると
3年くらい一緒にいたから
その存在がなくなることは、大きかった。
けれどあたしはそんなに淋しがりじゃない。
だから平気だと思っていた。
思っていた、けれど。
平穏に過ぎたのは、最初のうちだけだった。
あたしは自分でも驚くほどに
ひどく落ち込み始めていた。
マナブに会いたい。
一緒にいたい。
一緒にいてほしい。
その気持ちは、時間が経てば経つほど膨れ上がり
あたしは何度となく泣くことになった。
予想以上に、マナブはあたしの心の
あらゆるところに住んでいた。
自分から別れを告げたのにも関わらず
あれは間違いだったんじゃないかとさえ
思い始めていた。
でもその感情が果たして正しいものなのかどうか
あたしにはどうにも判断ができなかった。
単に一人になったことへの淋しさのせいなのか
それとも、別れを決めたのが間違いで
あたし自身が本当にマナブを必要としているのか。
でも、分からなかった。
淋しさの中ではまともな判断はできないと思った。
あたしは何度もマナブに連絡をしようと思い
何度も思いとどまった。
もし。もしもマナブが連絡してきてくれたら。
もう一度考えなおしてくれないかと、言ってくれたら。
そんな身勝手な願望を、本気で抱いたりもした。
けれどあたしは結局、
マナブに連絡する事はできなかったし
マナブからも連絡がくることはなかった。
そうやって悶々と、後悔や迷いを抱えながら
いつの間にか半年以上が過ぎようとしていて
夏も終わりに差しかかった頃、
あたしはようやく、次へ進む決心をした。
何が間違いであったとしても
たとえ、正しくなかった事だったとしても
自分で選んだこと。
とにかく次へ、いこう。次へ。
それにしても、と思う。
自分にぴったり合う人なんて
本当にいるんだろうか?
この歳になるまで
数えきれない恋愛をしてきたけど
この人でないと絶対にダメだなんて確証が
本当にあるのだろうか。
この不安定で不確かな恋愛の結末が
結婚であるというのなら
あたしには結婚なんて
本当に向いていないのかもしれない。