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Life is choice.  作者: 小野田ラコ
第1章 はじまりのはじまり
13/85

13.変わらないこと、変わったこと

同性愛者についてあたしは、ほぼ無知だった。

TVで男性のゲイの人ならよく見るけれど

その程度のものでしかなかった。

ましてやレズビアンは、TVでも見た事がないと思う。


あたしは時間が許す限り

インターネットで検索をし続けた。

何を知りたいのかよく分からなかったけけど

何も知らないでカオルさんたちに接する事は

できないと思ったからだ。


思いつく限りの単語を調べ

それからさらに関連している事柄へ飛ぶ。

それを何度も繰り返した。


知らないことばかりだった。

LGBTとか、セクマイという言葉さえも知らなかった。

あたしは自分の無知さに、というよりも

自分の世間知らずさに驚いた。


調べていくうちに、そういう人たちは普通に

とてもたくさんいる事を知った。 今まで自分は

一度も彼らには会っていないと思ったけれど

きっとそれはあたしの間違いで

気が付かなかっただけなんだと思った。


たくさんの人のブログも読んだ。

普通の女の子が、普通に恋をしている様子は

あたしたちと何も変わらず、みんな同じで、

あたしはなんとなくホッとした。


ユッキーが言っていた 『ビアンバー』 というのも

検索すると、あたしの住んでる街にもある事が分かった。

それは友達とよく飲みに行っていた場所の、

すぐ近くにあった。全く知らなかった。


機会がなかったり、または知ろうと思わなければ

気が付かないまま通り過ぎる。


それはそれで悪いことではないのだろうけれど

あたしは知るチャンスを与えられたことが

単純に嬉しいと思った。

カオルさん達に感謝したいと心から思った。


頭がパンパンになるほどの情報を詰め込みながらも

それでもあたしの頭には、カオルさんの言葉が

何度も何度も、繰り返し聞こえていた。


『だからシノは可愛い。 ”そーゆー” 意味で』

思い出すたびに胸がドキドキした。


もしかして、万が一に、もしかしてだけれど

あたしなんかでも、カオルさんの恋愛対象に

なったりすることがあるのかな、などと考えてしまう。


あたしはそんな想像をしては

けれどそんなはずはないと否定し

もしそうなったらと思っては、

でもそれでは困ると思い直し

パソコンの前でのたうちまわった。


部屋の隅には、カオルさんがくれた

あのサーフボードが立てかけてある。


使わないボードを譲り合うなんてことは

サーファーの間では珍しいことではないのだけれど。


けれどもしもの可能性を、

それが期待なのか何なのかは分からないけれど

あたしは考えないわけにはいかなかった。


何も知らなかった今までとこれからは

もう同じではいられないような気がした。



*LGBT……女性同性愛者(Lesbian)、男性同性愛者(Gay)、両性愛者(Bisexual)、そして性転換者・異性装同性愛者など(Transgender)の人々を意味する頭字語。

*セクマイ……(セクシュアルマイノリティの略)性的少数者。何らかの意味で「性」のあり方が非典型的な人のこと。一般的に同性愛者、両性愛者、トランスジェンダー(性同一性障害の当事者含む)などが含まれる。

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