新入部員は初恋の人?
2年生になってから、数日が経った
ガヤガヤ…
「おー、部活の連中は必死だなぁ」
朝から校門前で新入部員獲得の為に各部活が売り込みを行っていた
「朝から賑わってるなぁ」
「そうだな。あれ?東崎じゃん」
そこには東崎の姿があった
「何やってんだお前」
「何って…映画部の勧誘に決まってんだろ」
「映画部に新入部員必要なの?」
「当たり前だろ。新入部員が入ればもっと表現の幅が広がると思うし、部費で映画が作りやすくなるし…」
「まぁ確かにな…あれ、倉見は?」
「桜ならあそこで旗持って勧誘してるよ」
東崎の指差す方向を見ると
「え…映画部に入りませんかぁ(汗)」
倉見は旗を一生懸命持ちながら、動き回っていた
和むな~~~~~
「倉見のヤツ、頑張ってるね」
「東崎は倉見の頑張ってる姿見てどう思うよ?ww」
俊は聞くが
「別に。あれ位部員として当然の働きだろ」
思った通りの回答が返ってきた
「か~~~~~、お前は本当にダメだな」
「ダメ言うな」
「女の子の頑張る姿を見て『可愛いなぁ…ハァハァ』とか思わないのか」
「それ、ただの変態じゃねぇか!!」
「ま、まぁ謙人。部員獲得頑張れよ」
「サンキュ、明石」
俺は、騒ぐおがさんを引っ張っていった
「東崎~新入生の女の子にちょっかい出すなよ~~~~~ww」
「うるせぇ!!」
~~~~~~~~~~
「まったく…おがさんめ」
俺はため息をつくと
「あの…」
ふと声を掛けられて顔を上げると
「映画部って何ですか?」
数人の新入生らしき女の子がいた
「あぁ、映画部ってのは部員が自作映画を作る…まぁ要は演劇部に似てる感じかな」
「えー、じゃあ演技とかするんですか?」
「まぁそれはそうだね…」
「じゃあ加奈、入りなよ」「私に演技とか無理だよ~ww」「加奈は大根役者だからねw」「ちょ…ひどいよ~ww」
…こいつらには、演劇なんて到底無理だろうな
「じゃあ、行こっか」
女の子数人はどっかへ行った。
「咲川~行くよ?」
「あ………うん」
タッタッタッ…
ハァ…誰か部員になってくれるヤツはいないかなぁ
~~~~~~~~~~
次の日
「謙人君…私緊張してきたよ」
「映画見せるだけなのになんで桜が緊張してるんだ」
今日は新入生歓迎会で部活紹介である
この新入生歓迎会で部員が入るかどうかが決まる。
俺と桜が所属する映画部は今、廃部の危機を迎えている
去年いた3年の先輩は卒業して俺と桜だけになっている
たまに明石や他の連中に映画に出てもらっているが、先輩達が卒業してからは2人だけでは活動できず、映画は製作していない
俺は何としても映画を作りたいのだ
『次は、映画部による短編映画上映会です』
「よし、桜行くぞ」
「はうっ…」
ワー、ザワザワ…
目の前にはたくさんの新入生が集まっている
「あうぅ…」
「大丈夫だ桜、俺に任せろ」
俺はマイクを握った
『えー、新入生の皆さんご入学おめでとうございます。映画部部長の東崎です。私達映画部はご覧の通り部員が2人しかいません。これから見せる映画は去年制作されたものです』
そして、俺はプロジェクターの再生ボタンを押した
放課後 映画部部室
「……………」
カチッカチッ…
「……………」
カチッカチッ…
「…誰も来ないな」
「や、やっぱり…私が挙動不審だったから」
「もしかしたら、見せた映画が良くなかったかなぁ」
「や、やっぱり皆…映画部に興味ないのかなぁ」
俺と桜は黙り込んだ。
確かに映画には皆興味を持ってくれた。だが、演技が上手くないといけないという雰囲気があって入りづらいということも事実だ。
まぁ、気長に待つしかないか…
「………桜。何か飲み物買ってこようか?」
「ふぇ…ありがとう…///」
「なに飲む?」
「ペプシの…高麗人参スパーキングを」
「分かった」
ガシャン!!
プシュ…ゴクゴク…
「ふぅ…」
やっぱり画面に映って演技をやるってのは抵抗があるんだろうか…
まぁ、好きで画面に映りたがるヤツもいないだろうがなw
「さて、そろそろ部室に戻るか…」
ピクッ
「!?……………?」
今何か…ただならぬ人の気配を感じた。
いや…人というか、猫みたいな気配も感じる…誰か近くで見ているのか?
「だ、誰かいるのか?」
辺りを見回すが誰もいない
……………気のせいか
ガチャ
「おかえり…遅かったね」
「あぁ…。桜。さっきさ、自販機の近くで人か猫の気配を感じたんだが…」
「人か猫の気配…?どういうこと?」
「俺もよく分からないんだが、何か見られてる感じがしてな」
「そ、そうなんだ…ところで謙人君」
「なに?」
「け、謙人君の後ろにいる娘は誰?」
「は?……………うわぁ!!」
後ろを振り向くと1年らしき女の子が立っていた。
「誰!?」
「あ…驚かせてスイマセン私、ここに入部希望してきたんですにゃあ」
「あ、入部希望な…」
~~~~~~~~~~
「1年4組の咲川ねこと言います。」
「俺は、部長の東崎謙人。こっちは倉見桜」
「よろしくお願いします。あのっ…見せていただいた映画、感動しにゃした」
「そ、そうか。ありがとうな…」
「東崎先輩の演技とか、倉見先輩の涙のシーン格好良かったです」
「う、うん。映画はともかく、聞きたいことがあるんだけど」
「はい!!にゃんですか?」
「その…咲川さんの抱えている猫は何?」ニャー
「あ、この子は…『ぬこ』です。」
「ぬこ!?………っていうか、学校に動物の持ち込みはダメなんじゃ…」
「本当はそうなんですが…この子、15年間私の側から離れなくて、だから特別に掛け合ってもらったんです」
「そ、そうなんだ…ん?」
俺は思った。さっきの自販機での謎の気配…今も少しだけ感じる
もしかして…
「咲川さん。」
「にゃんですか?」
「さっき、1階の自販機でもしかして俺の事見てた?」
ギクッ
「そ、そんにゃにゃにゃことにゃいですよ?」
明らかに慌ててら
「じゃあ、俺が手に持っていた飲み物は?」
「それは、ペプシの高麗人参スパーキング………にゃ!?」
アホか、この娘
「ふにゅう…すいません」へんにゃり
「いや、怒ってるわけじゃないけど…どうしてこんな事を?」
「その…と、東崎先輩も悪いんですよ///」
「何で!?」
「それは…私が東崎先輩に一目惚れしてしまったからです!!!!!/////」
またまた登場人物紹介です。
咲川ねこ[さきかわねこ](15)
倉見と同じくネコミミが特徴の後輩
部活勧誘時に東崎に激しく惚れて映画部に入部。東崎に積極的にアプローチをするが、スルーされる
コスプレが趣味でコスプレしては東崎にアピールしている
家がペット屋なせいか、いつも『ぬこ』と呼ばれる猫を抱えている
武蔵田健吾[むさしだけんご](15)
咲川と同じく映画部に入った後輩だが、影がとてつもなく薄くて部活からたまに忘れられる存在
演技力はピカイチにうまい
だが、なんといっても影が薄い
自称『武蔵野の幽霊』