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一 旅立つ

いつか届くだろう手紙。

君たちに届けたい手紙。

どんな場所でも届けてみせる例え自分の存在が消えてしまっても…そうたとえたった一通の手紙でも確実に何かが変わるのだから…一 旅立つ(1)俺は、これからの相棒に【飛び乗った】。

異様な形をしているそれは、一見しただけでは、何なのか分からない。

まるで何かのえさのような形。

食欲を誘うような色あい。いい香りが漂ってきそうな雰囲気。食べ物にしては、大きすぎる大きさ。そんな相棒は、もちろん食べ物ではない。ちゃんととした乗り物なのだ。ただ他の乗り物とは、明らかに違う。何が違うかと言うと…思いを届けるための乗り物。そう俺は今から旅立つ【君たちに届けたい手紙】を届けるために…

「本当にいいのか??死ぬだけでなくお前の存在自体が抹消されるかもしれないんだぞ。」

彼は確かめるように言う。

「ああ分かってる。それでも俺は行かなくてはならないんだ。希望を届けるために。お前も分かっているだろ。だからこれ以上何も言わずに友の旅立ちを見届けてくれないか」

数秒の沈黙。彼は、俺の目を真っ直ぐに見つめ

「もう何を言っても意味がないんだな…。そうか…分かったもう何も言わずに見届けてやるよ。お前の旅立ちを。ただひとつだけ言わせてくれ帰ってこいよ。」

「おう。」

俺は、気楽にそう言う。そして上部ハッチを閉じ、彼に向かってオーケーサインをだす。彼は、うなずき目の前にある装置を動かしだす。それにより俺の乗っている相棒の安全装置がはずされていく。それを確認すると俺らは、再び目を合わせ、互いにうなずきあう。そして俺は目の前にある、システム起動パネルの電源を入れる。俺は、すべてのシステムに異常がないことを確認して、ベイットシステムを起動させた。

「じゃ行ってくる。」

外部スピーカーのマイクに向かって俺は、もう二度と戻って来られないことを知りながらもすぐに帰ってくるような言い方した。

俺は、ベイットシステムの起動を確認した。

間違いなく起動している。

これからの旅の命綱なのだからいきなり作動しないでは、はなしにならない。

とりあえず旅には出られそうである。

あとはあいつが食いつくのを待つだけだ。

嵐の前の静けさ。

それを匂わす数秒の静寂。

ドックン何かの脈動が感じたと思うと突然耳に痛みが走り、寒気を感じる。

いきなり気圧が下がった。

そして四方八方から空間にひび割れが入り始める。やがてひびが乗り物のある空間までのびてくる。そのひび割れた空間を何かが打ち破る。破られた空間より何かが顔をだす。その顔をだした生き物に彼の乗っている乗り物は、飲み込まれた。ひび割れた空間は、まるでビデオの逆再生を見ているように元に戻っていた…その空間に入ったとたん警報がなりだした。耳が張り裂けそうになるぐらいの勢いに驚きながらも俺は、システムパネルの上を見た。どこに異常があるのかはすぐに分かった。バリアを張るのを忘れていたのだ。

「おっと大変だ!!早くしないと機体がとけてしまう」

俺は、バリアのスイッチをいれた。

バリアが張られると警報は鳴り止んだ。

俺は、ふぅとため息をつき外部モニターに目を移し、外の情景を見た。そこには、無数に開いた穴と薄き気味悪いピンク色の壁があった。壁は、どくどくと脈うち濁り切っていた。それ以外は、本当に何もなかった。ただ広さだけが際立っていた。どこまで続いているのか俺には、想像できないぐらい広かった。

「……うひゃ…ひれぇな…大丈夫かこれから…」

これからの旅に不安を感じつつ俺は、独り言をもらした。一人きりの旅なので自然と独り言がおおくなってしまう。道ずれが欲しいなぁと思った。正直一人でいるのがつらいなぁと思う。まだ旅に出たばかりだというのに…。

「さてまずはどこに行けばいいのかなぁ??」

とまた一人ごとだと知りつつ言葉をもらしてしまう。(まぁどうせ一人だしいいか)と心の中で思い開き直って独り言を続ける。 「えっと…そうそう確か出るときにプログラムしておいたはずだから…目的地までのルートは出てくるはずだ。」

といいながらタッチパネル式の操作パネルをいじる。

「えっとこうして…ここのファイルを開いてと…そうそうこれ、これ…これだ」

やっとの思いで目的のファイルを見つけルートを表示させたその瞬間…

「緊急事態発生、緊急事態発生。直ちにこの空域から退避せよ。繰り返す直ちにこの空域を退避せよ。」

と無機質な合成音声が響く。すぐになぜそうしなければならないか思い当たった。異物排除措置だ。早く逃げないと免液獣にやられてしまう。この空間に入ってすぐにやるべきだった。ここから離れることを…

「えーい…いまさら悔やんでもしょうがない。とりあえず逃げなくちゃ」

そんなことをいいながら俺は、自動操縦を解除して、TNT(トリニトロトルエン)加速装置のスイッチを入れた。

ゲームのコントローラーを改造した操縦桿を握り、出力を全開にする。

体が座っている椅子に押し付けられる。

一気に最高速度に達する。

思わず操縦桿を放しそうになりながらも、俺は、必死になって操縦する。

バックモニターを見てみると、今まで俺がいた空間は、免疫獣が群がっている。危ないところだった後ほんの数秒遅かったらやつらの餌食なるところだった。警報装置がまたまた鳴った。不注意だった。バックモニターなんか見てないで前を見入るべきだった。前を向いたときには、もう遅かった目の前には、もうあの薄気味悪い壁があった…。

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