第三十八話 三人目のプレイヤー
先月は更新出来ずすみませんでした。休日出勤の嵐&パソコンが壊れたりと色々あったものでorz 次回も今月中に更新出来る様にしたいと思いますので、よろしくお願いしますm(__)m
「そんなところで呆けてないで、こっちに来いよ」
俺がどうするか決めかねていると、向こうから声をかけてきた。どうやら気付いていたらしい。まあ、別に隠れたりしてた訳じゃないしな。
ともあれ、声をかけられた以上はうだうだ言ってたって仕方ない。
俺は一応は警戒しながら、男の元に近付いて行った。
「さて、まずは自己紹介でもしようか?」
5メートルくらい離れた所で足を止めると、男がにこやかに笑顔を浮かべてそう言ってきた。
「そうだな」
特に反対する理由もないので頷いておく。
「俺はヴァラン。いや、あんたにはこう名乗った方が良いかな。藤倉 勤だ。よろしくな」
その名乗りに、俺は驚きを感じつつもどこかで納得していた。あの戦いを見れば、それも当然かもしれないが。
「あんたは?」
「俺は――」
一瞬、どちらの名前を名乗るべきか悩んだ。
こいつはプレイヤーだ。そして俺の事をプレイヤーだと判断して本名を名乗ってきた。確信までしてるかは分からないが、この状況で俺の正体を明かすべきか否か……
だが、その結論は直ぐに出した。
「俺は水原 悠人。ここでの名前はクロウだ」
本気で塔をクリアするつもりなら、強い仲間は多い方が良い。さっきの戦いを見る限り、この男――ヴァランと呼んでおこう――はかなり強い。少なくとも、物理戦闘のみなら俺よりも確実に強そうだ。
後は、ヴァランが今の調子の通り友好的かどうかが問題だな。
「どうして俺がプレイヤーだと?」
「確証なんてなかったさ。ただ、ここにソロでいる時点でおそらくそうだろうな。って思っただけだ」
そう判断したのはお互い様って事か。
「さて。こんな所で長話するのもなんだしな。早速本題に入ろう。あんたは、塔の攻略を目指してるんだろう?」
「ああ。そう聞いてくるって事は、あんたもそうなんだろ?」
ヴァランに問われて、俺はそう聞き返した。
「当然だな。この世界にいるのも楽しくない訳じゃないが、永住したいとも思わない。それに何より、現実世界でやり残した事がたくさんあるからな」
その気持ちは良く分かる。ヴァランが俺と同じ様にこっちの世界に来たのかは分からないが、おそらく似た様なものだったのだろう。だとすれば、元の世界に戻りたいと思うのは普通だと思う。
だからこそ、こうして塔の攻略を目指しているんだ。
「なら、協力しないか? 俺はソロクリアもした事はあるが、かなりアイテム頼りのクリアしかしてないんだ。今はそれだけのアイテムもないし、仲間は多いに越した事はない」
「そう、だな……」
協力の申し出は願ってもないものだ。だが、まだこいつの事は信用出来ない。
ジェシカの事も信用は出来ないが、ヴァランはそれ以上に何となく胡散臭い雰囲気を感じる。見た目がややチャラそうだからもしれないが……
これは偏見か。まあ、少なくとも塔の中にいる間は本当の意味で死んだりはしないだろうから、そこまで心配する必要はないかもしれないな。
「分かった。俺も仲間は多い方が良いと思うからな」
だから俺は、ヴァランの申し出を受ける事にした。
「それで、そっちは他に誰か仲間がいたりするのか?」
「いいや。いたらこんな所でソロで戦ってたりしないさ。って、その言い方だとあんたにはいるのか?」
俺の言葉に、ヴァランは驚いた様子で尋ねてきた。
「一応は。まだ実際にパーティを組んで攻略を始めた訳じゃないが、一人プレイヤーと会ってる」
「他にもプレイヤーがいるのかっ。俺達だけって事はないとは思ったが、この調子なら探せばもっと見つかりそうだな」
その可能性は十分にある。
この世界にやってきて直ぐはそんな風に思わなかったが、こうして二人のプレイヤーと出会った訳だし考えを改めるべきだろう。
「そうだな……街で燻ってる奴もいるかもしれないし、もっと上の階まで進んでる奴もいるかもしれない」
極端な話、この世界に来てから既に塔をクリアしてる連中だっているかもしれないんだ。
少なくとも、この世界において塔をクリアしたと言う話はない。けど、塔をクリアしたプレイヤーが元の世界に戻ったとすればそれも当然の話になる。
希望は、まだある。
「とりあえずだ。俺から提案があるんだが?」
「何だ?」
「パーティを組むなら、ある程度チームワークは必要になってくるだろう? せっかく塔の中にいるんだ。帰りがてら軽く一緒に戦っておかないか?」
ヴァランのそんな言葉に俺は頷く。
「そうだな。細かい話はもう一人のプレイヤーと一緒にするにしても、先行して一緒に戦っておくのも悪くはない」
「それじゃあ、改めてよろしく頼むぜ」
「こちらこそ」
俺達はお互いに距離を詰め、しっかりと握手を交わす。
お互い、心の底から信用してる訳じゃないだろう。だが、それでも共に戦う仲間として認めた。
これが、俺が見つけた二人目のプレイヤーとの出会い方だった。




