第3話 早くもお嬢様の危機?
お嬢様は初登校です。
いいのでしょうか?…そこは貴族だからいいのでしょう。私は中級もしくは下級の出身なので出席日数とか地味な事を気にしてしまうのですが、お嬢様は肝が据わっているというか、なんというか……。
私がアドバイスしたようにお嬢様は騎士団で「兄は体調が優れないようで……」と仰いました。
そこまで効果覿面とは思っていなかったのですが、普段は陛下に捧げる剣一筋!みたいな脳筋…失礼。非常に体格の良い方までもがお嬢様の一言で腰砕けになったようで。「あ、いいよ~」などと軽く言っているのです。
そこは野生の勘というのでしょうか?…を働かせてお嬢様とピエトロ様が同一人物であることを追及してほしいところだと思った次第です。
お嬢様が何やら私に耳打ちをしてきます。
「ねぇ、普段一緒に訓練してる連中に甘くされるとこそばゆいというか、気持ち悪いというか……」
まぁそうでしょうね。
「お嬢様が選んだ道ですので、耐えて下さい」
としか私は言えません。他に何が言えましょう?
「あーあ、明日からまた病弱なステフになろうかな?」
「いけませんお嬢様!少なくとも2日間くらいは“お嬢様”として登校してください!なんだか怠け癖みたいですよ?」
「怠けてるわけじゃないんだけど……。剣を振りたいっていうか……」
そう言うお嬢様は素振りのアクションをする。誰も見ていないといいんですけど……。
「何奴?」
そう言ってお嬢様は石を投げた。もちろん小石ですよ?淑女らしからぬ言動ですので後で厳重注意です!
「「マーク!」様!」
はい。私達の会話が聞かれていたようです。
「どういうことだ?‘明日からまた病弱なステフになる’?素振りの仕草もこなれてるっていうか見慣れたピエトロのものだった……」
ひそひそとお嬢様が耳打ちしました。
「ねぇ、今なら頭を打ち付ければ記憶障害とかなってくれそうじゃない?」
「いけません!私利私欲のために他者を物理的に傷つけるのは!しかもなんて乱暴な!!」
あきれてものも言えないとはこの状態を言うのではないのでしょうか?お嬢様を止めるためにいろいろ言いましたけど!
「で、どういうことか説明してくれるか?」
「お嬢様、仕方ありませんね。マーク様にだけお伝えしましょうか?」
「うーん、仕方ないのかぁ。マークは寮で暮らしてるの?」
「いや、実家がここから近いから実家住まいだよ」
「お嬢様、ひとまず侯爵家で話をするのがいいかと思います。失礼ですが、マーク様はどのような本名でいらっしゃるのですか?」
「うーん、それは侯爵家で話すよ」
庶民を侯爵家にあげるのは……という侍女心だったのですが、やむを得ません。
「では、今度の休日タナー侯爵家にて真実をお話しします」
そのようにマーク様には伝え、お嬢様には今度の休日まで……と言っても今日を含めて2日間ですが……ステフ様で過ごされるように伝えた。
お嬢様からは当然ボイコットのような……ことをされましたけど。
うーん、明日は学院を休んだ方がいいかもしれないですね。
猫をかぶりにかぶったお嬢様をこれ以上晒すのも……ですし。
あまりにも早くばれませんか?マークにだけだけど、それにしたって…。




