第2話 嘘はいけないと思うのです。
翌日より実際に登校し始めました。……ピエトロ様が。
早くも放課後
「ピエトロ様、私お菓子を作って参りましたの。是非食べていただきたくて……」
とりあえず、名前を名乗りましょう?まぁ、私が探らせますけど?
「ありがとう。寮で大事に食べるよ。食事の量が足りなくてね」
……嘘も方便とはよく言ったもの。良家の子女って厨房に入るのでしょうか?このお菓子が不審なんですよね。お菓子にはしたなくも媚薬なら普通ですがその令嬢の唾や髪の毛なんかが混入している可能性だってあるのです。
「サラ、寮にこれを持って行ってくれる?」
「お待ちください!ピエトロ様!私は早く菓子を食べて頂きたいのです」
「えー、今はそんなにお腹減ってないし。せっかくだから味わいたいんだよね。それとも、‘今すぐ’じゃないといけない理由があるの?」
「……」
あるのですか……。この令嬢は入学1日で退学だと思います。多分、この菓子には毒でも入っているんでしょう。
「そういうわけで、寮に持って帰るね。あ、これから騎士団に呼ばれてるんだ。行かなきゃ。遅れたら罰がキツイんだよね」
ピエトロ様は自分の腹筋をお見せしました。すると、失神する令嬢が現れるなど騒然となりました。
「サラ、そんなに俺の腹筋は見苦しいのか?」
「逆です。見事に腹筋が割れてます。一般的に美しいと言われる類の腹筋でしょう」
「そうだろうな、騎士団で日々しごかれてるから」
「ピエトロ様、お嬢様としても生活してくださいね!」
「はぁ、わかったよ。俺はこっちの方が生活しやすいんだけどなぁ」
***********
騎士団にて:ピエトロ視点
「ピエトロ!遅いんじゃないか?競技場のまわり10周ダッシュだな」
「いつもいつも言いがかりですよ、マークさん」
「ん?お前、何で男のくせにブレスレットなんかつけてるんだ?
「あ、これは……」
マークさん、鬼の首取ったみたいな顔してる。正直見苦しいな。
「曾祖母の遺品です」
俺は、俯き加減伏目がちで言ってみた。効果は覿面だったようだ。
「あー、なんか悪かった。『ブレスレットなんか』じゃないよな?悪い」
二度も謝罪を受けることになってしまった。
「入り口で何だ、騒々しい。ん?ピエトロ、ブレスレットつけてるのか?色気づきやがって。まぁ、それはそうと、手首をガードするのは実践では守備になるからな。それに……みたところ金銭的価値は特にないだろう?手首に重りをつけて日々訓練をしてると思えばまぁいい。それより今日の訓練だ!」
「「はい」」
*******
「お嬢様……曾祖母の遺品とはまた激しく嘘をお吐きになって……」
「もう、サラは細かいなぁ。いいじゃない。これで追及されないんだから」
「まぁそうですけど、嘘はいけませんよ」
「正直に『これで性別を取り換えていますー』って言うわけにいかないでしょ?」
「そうなんですけど……」
……腑に落ちない。
あ、今は女子寮の中なのでお嬢様はステフ様です。
二人は同一人物なのですけどね。
「あ、それと。みだりに体を晒すようなことはどうかと思います。周りのお嬢様方も失神していたりしましたし。第一女性ならば、肌を露出するなど……考えただけで淑女の振る舞いではありません」
「あー、それなんだけど。私の腹筋はそんなに見苦しかったかなぁ?失神をするほど……」
お嬢様はこれだからいけないのです。
ご自分の体に無頓着なのです!どんなに魅力的なのかを理解していないようなのです。魅力的だから騎士団の輩に今回はからまれ、そのうち彼らの新しい扉を開けてしまうのではないのでしょうか?私は心配です。
「いいえぇお嬢様完璧です。しかしながら、振る舞いは淑女としてはいけませんね」
「ピエトロの時だったもん」
と、お嬢様は若干頬を膨らませて仰いますが、その仕草も愛らしく私の新しい扉が開きそうです。危ない危ない。侍女として自重しなくては。そしてお諫めするのが私の役目!
「今後はお気をつけあそばせ。ステフ様が登校する時にピエトロ様はどうするのですか?騎士団も欠席ですよ?無断欠席になるのでは?」
「そこはほら、私が一言「兄は体調が優れないようで、今日は学園を欠席していますの」と言えば騎士団の方も許してくれるんじゃないかなぁ?」
「そうでしょうか?」
そうでしょうね。お嬢様が心配そうな顔をして言えば大抵の殿方は納得をするでしょうね。
ピエトロ様はモテモテ~。これってステフ的に嬉しいもんなの?




