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第一章

漆黒の宇宙に浮かぶ、孤独な金属の塊。その中に、ヤクブ・プロハースカ船長はいた。地球を離れてすでに半年。宇宙船「ハヌシュ」は、未知の彼方へと孤独な航海を続けていた。


船内は、彼の私室であり、実験室であり、そして孤独な監獄でもあった。壁一面に計器が並び、無数の配線が絡み合う。無重力の中を彼は時折、フワリと浮き上がり、天井に頭をぶつけないよう気をつけながら移動する。狭い空間で、彼は毎日を同じルーティンで過ごしていた。一人で食事を摂り、黙々と体を動かす。その表情には、疲労と、そして深い孤独が刻まれている。地球との通信も途絶えがちで、彼は完全に孤立していた。


しかし、彼のこの任務は、地球の未来をかけたものだった。数年前、地球上に突如として現れた神秘的な現象「チョプラ雲」。それは空に長くたなびく、淡いピンク色の光の帯として観測された。その美しさは想像を絶し、同時にその正体は誰も知らなかった。科学者たちはそれが宇宙からの飛来物であり、地球の生命に影響を与える可能性を指摘した。


そして、そのチョプラ雲のサンプルを採取するため、ヤクブはたった一人で宇宙へと送り出されたのだ。地球では、彼の出発を前に記者会見が開かれた。大勢の報道陣と関係者が集まる中、スクリーンには宇宙船内のヤクブの姿が映し出される。彼の背後には、彼が目指すチョプラ雲のイメージが大きく表示されていた。


「ミッションの目的が目の前に見えます」と、会見に臨む関係者の一人が語る。彼らの表情には、希望と期待、そしてかすかな不安が入り混じっていた。特に、ヤクブと直接通信を行う責任者の女性は、彼の無事を祈るようなまなざしでスクリーンを見つめていた。


「チョプラ雲は想像を超える美しさです」と、彼女は続けた。その言葉は、単なる美しさの表現ではなく、未だ解明されていない脅威への警戒心も滲ませていた。


ヤクブは宇宙船の中で、地球からのメッセージを時折受け取る。それは励ましの言葉であり、彼の孤独を一時的に癒やす唯一の光でもあった。しかし、メッセージは次第に途切れがちになり、彼の心には重くのしかかる。




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