049 異変
「おおっ 釣れたか、早いな」
「まだ1時間経ってねえぞ、何人だ? 女もかよ」
兵舎に戻り連行した者達を降ろすと残っていた兵隊たちが集まって来た。
死体もあるが皆その程度は意に介さない、慣れっこだからだろう。
生きている者は地下牢に取りあえず入れておくことになり連れて行かれ、死体は身元確認まで保管されることに。
「新人研修にしてはまあまあだな、予定の半分の時間で成果とは・・ どうする?また出るか、それとも次のチームにするか」
隊長が他の兵士を振り返って聞くと一人が手を上げた。
「じゃあ今度は俺達が行くよ、こっちだって成果を上げなきゃ立場がないぜ、すぐに行かせろよ、そうだよなみんな」
「おう、前のチームはもういいだろ、次は俺らが行くぞ~」
「そうだな、悪辣通りの掃除とするか、あそこなら2年ぶりでだいぶ溜まってるだろ」
悪辣通り? 犯罪者の巣窟という物か、貧民街の一部だろうか。
なおさら荒れそうな気がする、5人程度で問題ないのか、店一件でケガ人が出たのだが今は言わない方が良いだろうか。
「珍しくやる気出てるな、いつもこうだといいんだけどねえ」
隊長が頭を掻きながら呆れたように言うが機嫌が良さそうだ。
「いつだってやる気あるよな俺達、そりゃないぜ、なあ?」
「そうだそうだ、いつだって気合入ってるぞ~ 、さあ行くか~~っ」
「ついてこい! 新人、遅れるなよ」
ぞろぞろと次のチームが出ていくので黙ってついていく。
「行ってらっしゃい、 新人よ、お前は張り切らなくていいからな、ほどほどに手伝えばいい」
隊長が緩んだ表情でそう言った。
「ああ、わかった」
次は別のチームに加わり付いていくことになりまた馬に乗り、歩を進めていく。
次も六人のチームである。
街の通りを皆少し早めに馬を走らせて先を急いでいるのか、気が早っているのか?
時間は十分にあると思うが。
「俺達も少しいいとこ見せてやるぞ、なあみんな」
「おう、そうだそうだ」
「俺達は10人以上仕留めないとな、さっさと行こうや」
「おい新入り、遅れるなよ! 走るぞ」
「わかった」
すぐに他の馬が駆け足となり離れて行くのでこちらも急いでついていく。
通りに石畳のひずめ音が響き街並みが後ろに流れ、通りの人々が音に気付いて道を開けて先が開けていく。
おかげで軽快に馬が走り風を切って気分が良い。
だがそうして少し走っていると後ろから大きな蹄の音が響き、それがどんどん迫ってきて通りの人が後ろを見て驚いている。
「ん? 何だ!?」
チームの兵も気付いて振り向くともうすぐ近くまでその馬が来ていてかなりの速さで走らせているのがわかるが、乗っているのがシーズのようだ。
「おい、ありゃあ・・」
「なに?!」
仲間がそう言っただけでその馬は脇を駆け抜けていった。
アイツは何か言っていたようだが良く聞こえなかった、なんだったのか。
「シーズの奴何か叫んでなかったか」
「なんか訳の分からんことを言ってたような・・・?」
「ああ、俺には 『我こそは天界の王・?』 とか聞こえたな」
「なんだそりゃ? 何の話だよ」
天界の王?! あいつが? 何を言い出すのだか・・ 聞き間違いなのか?
皆が茫然としているうちにシーズの馬はすぐに小さくなり見えなくなった。
あんな走らせ方ではすぐに馬がへばってしまうのではないか、それとも事故を起こしそうだが何があったというのだろう。
皆が茫然と見送り、馬の歩が緩むと今度は別の馬が追って来た音が響いた。
今度も辺境部隊の兵士のようだ。
「お~い、 ここをシーズが通らなかったか!!」
すぐに追いついて来て慌てたようにそう言ったので何かあったらしい。
馬も兵士も息を切らせてへばり気味だ。
「さっき凄い勢いで走って行ったが、なんだかおかしなことを言っていたな」
「そうなんだ、あいつだけじゃねえ、ムザック達も変な事を言って飛び出しちまった、なんだかわけがわからんよ」
ムザック達も・だと? それは・・・・・
一体何があったのか・・・・・・・・・。
ブックマークや評価をありがとうございます。
今後も頑張らせていただきます。




