キラキラ
傷を舐め合うようなこんな日々に、いい加減嫌気がさしていた。
大好きだったピンク色のフラワーベースを、思い切り振りかぶって叩き割る。
響いたガラスの音、飛び散る美しい破片、一面キラキラと輝くフローリング。
「どう?思い知った?」
涙がこぼれる。
「私たち、そろそろ目を覚ますべきだわ」
あとからあとから、ぼろぼろと生み出されていく。
嫌だ、私だって終わりたくない、ずっと生暖かいこの世界の中であなたと、
「もう、行かなくちゃ、行かなくちゃだめ、ここにいてはもう、」
カバンひとつで飛び出した私は、キラキラに見送られていた気がする。まるで映画かなにかみたいに。
そう。そうだよ。そんな映画みたいに居心地がよくて、美しく酔い続けられる、なんの進歩もない時が止まったこの場所。
……気がつけばいつの間にかもう、今更のさよなら、を呟くのも苦しいほど息が上がっていた。そう、これでいい。
現実を、生きていかなくては。まだ見ぬ未来のために、走り続けなくては。
頭に浮かぶ彼の姿を涙で塗りつぶして、ひたすらに夜道を走り続けた。