あばたもえくぼ
美人は3日で飽きる。
ある意味、それは嘘じゃないだろう。
手が届かないからこそ、高値の花には価値がある。
奇跡的な幸運によるものであったとしても、
手が届いてしまっては輝きが失せてしまう。
逆に、どんな花でも近くに咲いてくれているからこその幸せがある。
日常に安らぎがもたらされて心が癒されるなら、それ以上の幸せはない。
その花のすべてが愛おしく、まぶしいほどに輝いて見えるようになる。
しかし、自分に対してはどうしようもない。
自分のことが好きならまだしも、大嫌いなのだから手のつけようがない。
どこもかしこも欠点だらけに見えるし、
あばたはあばたのまま醜い姿を見せつける。
もちろん、他人にしてみればどうでもいいことだ。
あばたはあばたですらなく、
その人にとってどうでもいい人がそこにいるだけ。
悲しいぐらいに、情けないぐらいに。
人生において通りすがるだけの人のことなんて、
いちいち気にしてなんかいられない。
だが、自分自身からは一生逃れられない。
コンプレックスを抱えて、ずっと劣等感に苛まれるしかない。
過去のことになったと思えても、鏡を見れば現実がやってくる。
できることは、現実から目をそらし続けることだけ。
他の人にとっては、どうでもいいことだとわかっていても。