心の灯火
誰かのことを、心の底から信じることができない。
どうしても不安に襲われて、ネガティブな想像ばかりしてしまう。
近づいていいのか、遠ざかるべきなのか。
答えをだせないから、距離感の保ち方もわからない。
極端に近づきすぎたり、極端に遠ざかってしまったり。
その結果は、いつもひとりぼっち。
そばにいてくれる人がいても、少しでも離れた途端にダメになる。
どうせ自分なんか。
そんなふうに自分を否定しかできないから、
誰かに肯定してもらえる感覚がわからない。
だから、いつまでたっても同じことのくりかえし。
ちょっとしたことでおかしくなって、
自分自身も含めて何もかも見えなくなってしまう。
でも、ひとつだけ心の中に変化が起きた。
小さな子猫との出会いが、僕の心に暖かな灯火をつけてくれた。
人生ではじめて、誰かに必要とされている気がした。
人生ではじめて、自分のことを肯定できた気がした。
あまりにも頼りなくて、すぐに見失ってしまうような小さな灯火だけど。
その子猫もいまはそばにいなくて、ひとりぼっちなことには変わりない。
それでも、小さな灯火のぬくもりを感じることができる。
懐かしくて切ない、幸せな記憶とともに。
僕の人生において、それがどれほど大きなことか。
最期の瞬間は、きっとひとりぼっちじゃない。