表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
窓際の夢  作者: 桜瀬悠生
31/40

In Complete

 昔、大好きだったバンドが解散することになった。


 リリースでは無期限活動休止とのことだったが、


 十年以上が経ったいまでも活動は再開されていない。


 事実上の解散であり、そのことは当時もわかっていた。


 現在、音楽を続けているメンバーはひとりだけで、


 他のメンバーは何をしているのかわからない。


 すべての曲の歌詞を一言一句覚えていたほど大好きなバンドだったし、


 当時、死ぬことばかり考えていた僕の支えになってくれていた。


 だから、それほどまでに大好きだったバンドの解散を受けて、


 僕の心はどうしようもなく不安定になってしまった。

 

 どんな音楽を聴いても以前のようには楽しめず、


 心に映る風景もそれまでと違うものになってしまった。


 でも、


 あるイベントに出演していたベテランのバンドのパフォーマンス中、


 心の奥底からわきあがってくるものがあった。


 大好きなバンドのライブに通っていたころの楽しさを、


 音楽が与えてくれる感動のすばらしさを思い出すことができた。


 そのまま素直にパフォーマンスを楽しんでいたなら、


 その後の人生はまた違ったものになっていたのかもしれない。


 だけど、当時の僕は大好きなバンドへの裏切りのように感じてしまい、


 楽しむことをやめて心を閉ざしてしまった。


 音楽には、どんな一文字が入っているのかも忘れて――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ