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ためらい
一方的に話をするのが苦手で、いつも相手の顔色を窺ってしまう。
退屈じゃないだろうか、早く話し終われと思っていないだろうか。
話下手なのを自覚しているから、どうしても気にせざるを得ない。
続きを話すのをためらって、へたくそな話のリズムが余計に崩れていく。
そうなってくると焦らないのは無理で、
少しでも早くオチにたどり着きたくなる。
自分のためではなく、聞かされている相手のために。
その結果、自分でも何を話しているのかよくわからなくなる。
ようやくオチにたどり着いたときには、
相手の顔色を窺う必要さえもない。
だから、何か話したいことがあってもためらってしまう。
うまく話せる自信がないし、
どういう結末が待っているのか目に見えているからだ。
そして、同じことをくりかえす。
失敗体験ばかりが積み重なっていく人生で、
僕は何を手に入れられるのだろう。
手を伸ばすことさえも、ためらっているのに。