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善と悪
善き行いと信じて、悪しき者を駆逐しようとする。
はたして、それは善き行いだと本当に言えるのだろうか。
善き行いと信じているのは、相手も同じかもしれない。
悪しき者なのは、自分なのかもしれない。
ふたりとも正しく、ふたりとも間違っているのかもしれない。
では、その答えを知るためにはどうしたらいいのだろう。
そこにこそ、本当の意味での善き行いがあるように思う。
勝てば官軍をくりかえしても、勝者と敗者が生まれるだけだ。
戦わなければならないのは、
他の誰かではなく自分自身なのではないだろうか。
誰かに勝ったところで、優越感ぐらいしか手に入れられない。
井の中から抜け出すためには、誰かと手を取りあう必要がある。
その先には、晴れた青空が待っていることだろう。