慟哭
不倫のお話しです、苦手な方は読まないで下さい、
すいません。最後に皆さんにお聞きしたいことがあります、良かったら最後までお付き合い下さい。
それから暫く、里美は何も手につかなかった、辛うじて食事、掃除、洗濯などの基本的な家事はこなしたが、頭はいつも利矢のことでいっぱいで気を抜くと涙が零れそうになる。
「何故あんなことを言ってしまったんだろう、利矢にもしもの事があったらどうしよう」
利矢の大体の家の位置は分かる、興信所も使おうかと思った、本当にもう二度と利矢に会うことは出来ないのだろうか、そんな絶望に心が押し潰されそうだった。
二三日してぼーっとLINEを眺めていると、利矢のアイコンが別の女性と二人で写っているものに変わっていることに気がついた、
「なんだ、そういうことか…」
心が冷たくなるのを感じた、いつか見たキスマークのような痣が記憶を掠める、いつからなのか分からないが、利矢には他に女がいたのだろう、既婚の自分がとやかく言える立場ではない、昔付き合い始めた頃
「俺は里美だけでいい、里美がいてくれれば他には要らないよ」
そう言ってくれた利矢の言葉を信じていた自分を里美は笑った、勝手に熱をあげて苦しんでいる自分を利矢はどんな目で見ていたのか、恐らく大分滑稽だっただろう、本当に頭がおかしくなりそうだった。
ブロックされている間のメッセージは届かないので、ギフトにメッセージカードをつけて、
『アイコン見たよ、ずっと騙されてたのかな?でもおかげで目が覚めました、最後利矢から切ってくれたことが最後の優しさだと思っておくね、またお金なくなったら連絡して、元気でね、ありがとう』
と、記して入れておいた。利矢が見ることはないのかもしれない、それでも恨み言の1つも言いたい、これで忘れられる、全部幸せな夢だったと思おう。つらいことも沢山あったけど、利矢に優しくしてもらって抱かれている時は確かに幸せだった、そう言い聞かせて。
しかし、次の日目が覚めてスマホを覗くと、
『ギフトありがとう』
利矢と昔、LINEが使えなくなった時の緊急用として作ったアドレス宛に一言だけメールが届いていた。
里美は激しく混乱した、一体利矢は何のつもりでメールしてきたのだろう、しかし、また連絡が来たことを喜んでいる自分もいることに気づく、結局はまだ好きなのだろう、4年近くも一緒にいたのだ、そんなに急に気持ちは変えられない、情なのか執着なのか愛情なのか、もう分からなくなっていた、返事をするか半日ほど迷って、
『一緒に飲もうって言ってたフラペチーノ、彼女と飲んで』
そう返した。すると返事は、
『彼女じゃないよ、姉と昔撮った写真、里美に嫌われれば里美のこと解放してあげられるかと思ったの、俺も毎日寂しいよ』
里美はますます混乱した、何が本当で何が嘘なのか、家族が寝静まった深夜の浴槽でいつまでもぼんやりと考えていた。
もう少し続きます。