第一章その2・崩れる日常
<第一章その2・崩れる日常>
電源をつけっぱなしにしていたテレビに警報という文字が映し出され、同時にアナウンスが流れ出した。
「現在、国籍不明のミサイルが我が国に接近しています。落ち着いて、丈夫な建物か地下に避難してください。自衛隊が全力で迎撃に当たっています。国民の皆様は落ち着いて避難してください。繰り返します...」
ミ、ミサイル!?と、取り敢えず避難しなきゃ...で、でもこの住宅街にシェルターなんてない。外にいるよりは、家にいた方が安全だろう。それに何処の国のミサイルだろうと狙うとすれば自衛隊の基地や首相官邸だ。こんな住宅街への無差別攻撃なんてするわけがない。PCには不安そうな顔をした2人の顔が映っている。自分も今、こんな顔をしているのだろう。
「どうしたらいいの?」
焦った顔で綾香が尋ねる。
「取り敢えず、今は家にいた方が安全だと思う。」
綾香の家も少し離れているが同じ住宅街にある。だったら家にいた方が安全だ。
「お、俺はどうすればいいんだ?」
颯太も焦った顔だ。
「お前の家は笹山駅の近くだったよな?だったら地下街に避難した方が安全だ!」
笹山駅の地下街なら安全だろう。
「私たち、また直ぐに会えるよね?」
ここ4ヶ月はリモートでしか会ってないんだけどな...と思いながらも、不安な顔の綾香にそんなことを言う程、性格は悪くない。
「ああ、次に会うときはあそこで会おう」
2人の顔が少しだけ明るくなる。
「あそこね!」
「あそこか!」
2人が同時に言う。
「じゃあ、また会おう!」
3人で約束をかわし、PCをシャットダウンした。後は、家でミサイルが来ない事を祈るしかない。
短めが暫く続きます。ご了承ください。