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12話

「映像を拝見しました。いやはや、とんでもないものが映っておりましたなあ」


 高羽市警察署の一室にて、俺と隼人と倉持はいた。倉持はビデオカメラの内容を見て、そんな感想を述べたのだった。


「簡単に説明しますとね。この首をはねた人物がしている格好は、まさに龍の舞の儀式で龍役がする格好そのものです。龍の仮面を付け、巫女装束を身に纏っている。そして、二刀の短刀。全く一緒ですなあ」

「二刀の短刀に意味はあるんですか」

「ええ。どうやら、龍の牙に見立てているようで」

「となると、龍隠しは龍の舞、または村の言い伝えに関係があるみたいですね。それを踏まえて、林が殺された理由に検討はつきますか?」

「いえ。しかし、どうやら彼は分かっているみたいですね」


 倉持はそう言って隼人を見た。


「隼人君。君はこの映像を見て、落とし前と呟いたそうですね。どういう意味ですか」


 倉持が尋ねると、隼人はただ視線を逸らした。


「隼人君。人が死んでいるんだ。お願いですから、協力してくれませんかねえ」


 すると隼人は逸らしていた顔を再度、倉持へ向けた。


「誰にも言わないでもらえますか」


 そしてその重々しい口が、ついに開かれた。


「東雲家は、実は龍人の家系なんです」


 開口一番、俺と倉持は衝撃的な事実に面食らった。


「そ、それは本当ですか?」


 いつも飄々としている倉持でさえ、動揺が隠せない様であった。


「はい。なので、本当に、他言無用でお願いします」

「分かりました。なので安心して話して下さい」


 倉持はそう言って先を促した。


「言い伝えでは、村は龍を裏切りました。その際、龍人である僕たちの迫害が始まったんです」


 なるほど。龍を裏切ったのだから、その力を与えられた龍人も迫害する。有り得る話だ。


「しかし迫害する側の村人達には制約がありました。簡単に言うと、龍人を殺せば、龍と同じように災いが起きてしまうのです。しかし、村としては龍人の血は絶えさせたい。そこで村は、龍人の子孫を残さないようにする手段を取りました。龍人と契りを結んだ相手を全て殺し、子供が産まれることがないようにした」


 えげつない話だ。


「なるほど。読めてきましたよ」


 と倉持は楽しそうに言った。いつもの飄々とした態度である。調子を取り戻したのだろう。


「当然、龍人も黙っていない。龍人が誰か分からないよう、全員で身を隠した。村は龍人の策略にはまり、村の誰が龍人なのか分からなくなってしまった」


 倉持の説明で、俺も把握し始めた。


「そうか。その影響が今でも残っているのか。龍の舞で龍人役が誰か分からない様にしているのも。龍堂家の他に龍人の血を継いでいる家系が分からなかったのも」

「まあ、そんな感じです」


 俺の説明に、隼人が肯定した。

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