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【第74話】愛を奪われた英雄②




「ようこそ旅のお方達!

 愛溢れる場所『アフェト王国南部、メグスタ領』へようこそ!」



 門番が居たものの、これと言った身分確認も特に無く、すんなりと通してくれた。



「すっごい賑やかな街だね」


「だね。ホントに異形いるのかな?」


「この街の様子を見る限り、異形はこの街からは離れた場所で発生した可能性があります」



 そうだった。舞台はこの街だけじゃないんだ。

 この街どころか、この世界全体から探さなければいけないんだ。

 そう思うと途方も無いな……



「ナツメさんにルーナさん、ここからは各自で聞き込みを行いましょう。

 私は良いですが、2人は念の為一緒に行動してください。

 そうですね……2時間後、ここに集合しましょう」


「分かりました。一応、メイレールさんも気を付けてくださいね?」


「はい。私も気は抜かないように努めましょう」



 二手に別れての聞き込みが始まった。

 こういうのって誰に聴き込むのが良いのかな……



「図書館で読んだライトノベルってやつだと、聞き込みの定番は酒場だよね!」


「あ〜、確かに! 行ってみようか!」



 ルーナの提案で酒場を探す事になった。

 まだ昼間だと言うのに、お酒を飲んでいる人は多そうだ。

 偶然見つけた賑やかで大きな酒場の前。

 怖いという訳では無いのだが、子供2人で入るには少し戸惑ってしまう雰囲気。



「よし……行くよ!」


「う、うん!」



 勢いのままに酒場の扉を開ける。

 店内で飲んでいる人達の視線を独り占め状態だ。

 戸惑っていると、店奥のカウンターから店員さんが話し掛けてくれる。



「アモーレ! 随分と小さいお客さんだ。

 迷子……ではなさそうだね?

 良かったらこっちに座りな。大丈夫、ここにいるヤツらは悪いヤツじゃないさ。

 ほら皆、挨拶してあげな!」


『アモ─レェッ!!!』



 酒場の全員が息を揃えて挨拶をしてきた。

 そもそもアモーレって挨拶なのか?

 それが終わると、手に持つジョッキをガシャァンと打ち合わせて、先程同様に飲み始める。


 僕とルーナは顔を合わせ、ひとまず案内されたカウンター席へ腰掛ける。



「君達は何者なんだい? 

 そうだ、飲み物は水でいいかな?」


「はい、ありがとうございます!

 僕達はとある情報を集めて旅をしていまして」


「旅か。若いっていいねぇ……

 ちなみに何の情報を集めてるかは、聞いても大丈夫なのかい?」



 友好的な人で良かった……

 確かこの世界は幸福の神(ベアティードさん)の管轄だから、その影響かもしれないな。



「近頃、この国の近くとか何処か他の国で、悪い噂とかを聞いた事はないですか?」


「悪い噂か……生憎、僕はここから出た事が無くてね。

 そういう情報には疎いんだ……

 代わりと言ってはなんだけど、ここには他国へ出入りする商人もいるから、その人達に聞いてみるといいよ」



 店員さんは少し離れた席に座る女性に手招きし、その人を僕の隣に座らせた。



「あたいに何か用かい、ちびっ子達?

 商品の依頼か……もしくは儲け話とか!?」


「い、いえ! 僕達、最近起きてる悪い噂を集めてまして、商人の人なら知っているかも……と」


「なぁんだ……でも、悪い噂かぁ。

 2人とも、ちょいと耳貸しな……」



 商人のお姉さんが耳打ちで情報を教えてくれるらしい。



「あまり大きな声では言い難いんだけどな……

 帝国が消えたらしいんだよ」


「それ本当ですか!?」


「声がでけぇよ! 確かな情報では無いんだがよ、あたいの知り合いの帝国住みは誰にも連絡が取れねぇんだ……」



 これは良い情報を得た。

 しかし、帝国か……遠くないといいな。



「貴重な情報ありがとうございます。

 ちなみに帝国ってここからだと、どれくらいで行けますかね?」


「あたいは商人だから、荷馬車と護衛も付けて15日ってところだね。

 普通の乗り合い馬車とかなら、もう少し早ぇはずだ」


「貴重な情報をありがとうございます!」


「いいって事よ!」



 馬車で半月か……結構な距離だろうな。

 徒歩5日でも中々の距離なのに……


 酒場に入ってから出るまでに1時間くらい経ったかな?

 約束は2時間後だけど、メイレールさんを探して早く帝国方面へ向かいたい。



「メイレールさん何処に居るかな」


「時間になるまで馬車の乗り場調べようよ!」


「確かに……よし、そうしようか!」



 公共の馬車乗り場の下見も完了し、約束の時刻に最初に別れた場所に集合した。

 メイレールさんも僕達と似たような情報を仕入れており、帝国へ向かう事となった。

 僕とルーナが馬車乗り場を探していたのと同じ様に、メイレールさんは短い間に路銀を稼いでいた。

 冒険者ギルドにも登録したらしく、ギルドカードなる物を見せてくれた。

 この人、マジで有能なんだよな……


 そうこうしている内に、帝国行きの馬車が出発するみたいだ。



◆◇◆◇◆◇◆



 馬車に揺られて12日程が経っただろうか?

 慣れない馬車での旅路に、何度も吐きそうになりながらようやく辿り着いた。

 帝国()()()()()()()その場所に。





読んでいただきありがとうございます!


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感想には真心込めて返信しますので、是非お気軽に皆様の声を聞かせてください!


次回は帝国で何があったのかが明らかに?


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― 新着の感想 ―
[良い点] 現実世界との接点があると、ナツメ君の出身地を思い出させてくれます。たまにこういう要素も大事ですよね。そして危険な薫りがぷんぷん。エピソードの切り方が巧いです。
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