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【第29話】待ちに待った決闘

 いつも評価や感想ありがとうございます。

 とても励まされています!

 これからも書き続けますので、応援よろしくお願いします。


 それでは、本編へどうぞ!!




 あろう事かリオ爺は砕けた木々を掻き分け、自らの足で歩いてこちらに向かって来た。

 僕とルーナは咄嗟に身構える。



「武器を下ろしてください。

 これ以上か弱い老人をいじめる気ですかな?」


「どの口が言うんですか……」



 リオ爺は両手を挙げて降参の意を示す。

 本人がまだまだ余裕そうなのは腹が立つが。



「それで、僕達は一太刀入れた事になりますか?」


「勿論です!

 流石のわたくしも、あの規模の攻撃は避けられませんでした。非常に愉快です」



 完全に消耗している僕達とは違い、何ともまぁ満足そうな顔でそう言う。



「ナツメ君、ルーナさん、君達は神域の図書館で最高峰の武力を誇るわたくしに確かに一撃を入れたのです。


 君達が2人で力を合わせれば、決闘などの児戯で負ける事は無いでしょう」



 僕とルーナは顔を合わせ、ようやく実感が湧いてきた。

 リオ爺に一撃を入れた実感が。



「 「ぃやった〜〜!!!」 」


「やったよルーナ! 勝ったんだよ!」


「ナツメ君! よかったよぉ!!」



 僕達は感極まり、疲れなど忘れてお互いの手を取り合い飛び跳ねた。



「さぁ、2人共帰りますよ。

 目が覚めたらお祝いをしましょう」


「そうですね、楽しみにしてます!


 あの、わがまま言ってるみたいでアレなんですけど、クーちゃん先輩に運ばれるのが何て言うか、その……」


「今回は大丈夫ですよ。

 書庫に戻ればメイレールが居るはずです。

 流石に決闘前に以前のクークラの運び方をされるのは可哀想だと思いましたので……」



 これは非常にありがたい配慮だ。

 書庫に戻り次第、安心してぶっ倒れよう。



「2人とも帰りますよ。

 忘れ物は無いですね?」


「 「はい」 」


『そして物語は幕を閉じる』



 魔法陣を抜け、禁書庫に帰ってくる。

 気分はさながら凱旋する英雄だ。


 まぁ、魔法陣を抜けた直後に倒れちゃう訳なのだが。

 出迎えてくれたのはメイレールさん……とその後ろに先輩も居る?



「それでは、わたくしはルーナさんを部屋まで運びますので、ナツメ君の方は任せますよ」


「ええ、任されました。

 ナツメさん、運ばせてもらいますね」



 メイレールさんが僕を抱き抱えようとした時、待ったが掛かる。



「……後輩を運ぶのは……クークラの仕事。

 ……クークラが…運びたい」


「そうは言いますが、リオテークから聞いている話では、クークラはナツメさんを引き摺っていると言っていて」


「……うっ……でも…クークラが……」



 微かな意識の中で、そんな会話が聞こえてくる。

 先輩の想いはとても嬉しいが、僕も僕で自分の身が可愛い。



「先輩……メイレールさんには僕の頭を持たせてあげてくれませんか?

 せっかく来てくれたんですし……ね?」


「………………ん……分かった」



 かなり渋々ではあるが、了承はしてくれたようだ。



「後はお願いします……」


「……ん…任せて」


「2人で運ばさせて貰いますね。

 ナツメさんはゆっくり休んでいてください」



 その声を耳に、僕はまた眠りについた。

 後頭部の無事を切に願いながら。



 ◆◇◆◇◆◇◆



 2日後の夕方、部屋の外の慌ただしさに目が覚めた。

 今回は……後頭部が痛くない!

 メイレールさんが上手いこと運んでくれたのだろう。

 後でお礼を言っておかないと。

 そんな事を考えていると、ぐぅ〜っと腹の虫が鳴く。



「取り敢えず、なんか食べないと……」



 僕は軽く着替えてダイニングに向かう。

 そこにはお馴染みのアルバさんとクーちゃん先輩、それに聖天騎士団長のモネさんがいた。

 モネさんは軽鎧の上からエプロンをしてるのか。


 そして、3人でとんでもない量の料理を重箱に詰めている。



「あの、何をしてるんですか?」

 

「あ! ナツメ君起きたんだね!

 これね、明日のお弁当なんだって。

 アタシはお手伝い兼、夕飯を集りに来たんだ!」


「……モネ……つまみ食いしか…してない」


「そんな事ないよ!?」



 モネさんは心外だとばかりに反論するが、口の周りの汚れで語るに落ちている。

 それにしても明日必要な弁当って事は……



「あの、もしかすると決闘って明日ですか?」


「あ、そうそう! それを伝えに来たんだよ!

 ルーナちゃんには今朝伝えたから、今ナツメ君にも伝えたって事で!

 明日の朝に騎士団の屋外闘技場に集合ね。

 来れば人が集まってるから分かるよ!」


「分かりました。ありがとうございます」



 分かっていたけど、明日か……

 いざその日が来ると少し緊張するな。


 僕はアルバさんに弁当の残りを少しずつ分けてもらい、腹を満たした。



 ◆◇◆◇◆◇◆



 翌日、僕とルーナは他の皆より早起きして、先に会場に到着していた。

 会場の周りには屋台やら何やらが準備されていて、完全にお祭りムードだ。



「決闘ってもっと厳かなのを想像してたよ」


「実は言うと、わたしもこういうのは初めてなんだよね。

 聖天騎士同士の決闘は見た事あるんだけど、こんな規模じゃなかったから……」


「ナツメ君、ルーナちゃん! 早いね、もう来たんだ」



 会場の雰囲気に飲み込まれつつあった僕らに、モネさんが声を掛ける。



「はい、遅刻だけはしないようにと思いまして」


「うんうん、実によろしい!

 始まるのはもう少し後だから、それまで2人でゆっくり見て回るといいよ。

 試合、楽しみにしてるね!」



 そう言うと、走って何処かへ行ってしまった。


 モネさんに言われた通り、僕とルーナで決闘の時間まで、色んな屋台を見て回った。

 そして楽しい時間も束の間、その時がきてしまった。




『西コーナーから現れたのは! 次期神域の図書館長ナツメ選手! 数百人の騎士候補から選ばれし者! ルーナ選手!

 ルーナ選手はDクラスとの情報がありましたが、どのような闘いになるのか、見逃せません!!』



『そして! 東コーナーより現れたのは! 聖天騎士学校所属! Aクラス首席を誇る、ロイド選手!

 そしてこれまたAクラス次席、レヴィア選手!

 騎士学校のツートップがお出ましだぁ!!』



『うぉおおおおお!!!!』



 両者の紹介が終わると、客席から割れんばかりの歓声が聞こえる。

 っていうか相手の2人組み、前にめちゃくちゃアピールして来た人達じゃないか……


 会場を見渡すと、少し離れた木陰に図書館陣営が勢揃いしていた。

 あ、オラシアさんと先輩が手を振ってる。


 手を振り返したりしていると、舞台の真ん中にモネさんが上がり、宣言する。



「決闘は現聖天騎士隊長であるアタシが仕切る!

 両者、構え!!」



 お互い武器を構え、会場が一瞬、静寂に包まれる。



「始め!!!」



 この試合、絶対に勝ってみせる……




【決闘前日のキッチンにて】


「アタシが手伝いに来たよ!」


「……うわ…取り分が減る……帰って欲しい」


「クーちゃん酷くない!?」


「まぁまぁ、クークラもそんな事言わないで。

 それじゃあ、モネさんは僕が作った料理を重箱に詰めて貰えるかな?」


「アルバさんありがとう!

 少しならつまみ食いしてもいい?」


「仕方ないですね、本当に少しだけですよ」


「やったー!」


 そして言うまでも無く、モネのつまむ量が多過ぎ、アルバが作る料理は中々、重箱に詰まらなかった……



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― 新着の感想 ―
[良い点] いよいよ決闘。でもAクラスの実力が未知数で何気に不安かもしれません。モネみたいな人が上司だったら幸せですよね。
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