表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/104

【第15話】勧誘




 聖天騎士隊の養成学校で僕の数少ない友達であるルーナと再会した。



「ルーナって聖天騎士の学校にいたんだね、驚いたよ」


「驚いたのはわたしだよ! 何でここにいるの? 見学?」


「今日は色んな教室を見て回って、僕のパートナーを探してるんだよね」


「パートナーって、クーちゃんじゃないの?」



 ルーナは首を傾げている。

 普段から先輩後輩の仲だからパートナーだと勘違いされるのも仕方ないか。



「確かに先輩とは数年間一緒に仕事をしてたけど、僕の本来の仕事はまた別なんだ」


「ちょ、ちょっと待って。

 まさかとは思うんだけどさ、ナツメ君って図書館長の見習いの人とかだったり……する?」


「うん。その通りだけど、どうしたの?」



 ルーナは何故かアワアワと焦っているような様子だ。



「ええっと……そ、その、今までの御無礼、ま、誠に申し訳ないと思いあそばしませ!?」



 なんだその初めて聞く言葉は……



「急に畏まられても困るな……

 今まで通りにしてよ。ね?」


「分かったよ。はぁ……近い内に図書館長の見習いの人が来るとは聞いていたけど、まさかナツメ君だったとは……」



 良かった、普通に話してくれるみたいだ。

 僕は落ち着いたルーナに何故そんなに畏まったりしたのか聞いてみた。



「図書館の人達って私達から見ると天上の人達なの。

 特に私達Dクラスの人は関わる事すら、本来ままならないし、緊張しちゃうんだよ。

 クーちゃんはすごく積極的に関わってくれるけどね」


「……ん……ルーナは…やな感じ……しない」



 Dクラスはもしかすると、他のクラスから下に見られたりしているのかな……

 もしそうだったら、僕の友達がそういう風に見られているのはとても嫌だ。


 ルーナが先輩の頭を撫でて微笑んでいる。

 先輩も満更でもない顔で撫でられるがままだ。

 こんな光景をずっと見ていたい。



「──よし、決めた!」


「……? 何を?」


「ルーナ、僕達と一緒に図書館に来てよ!」



 ルーナを勧誘すると、教室がドッと歓声が上がった。



「マジかよ! Dクラス初の快挙じゃないか!?」


「ルーナちゃん凄い! おめでとう!!」


「これでAクラスの頭でっかち共をギャフンと言わせてやれるぜ!」



 と、各々が騒ぎ出し、もう完全にお祭りムードだ。

 ここにいる人達からしたら、相当なビッグイベントなのだろう。



「一応、ルーナの返事を聞かせて欲しいんだけど……」


「行く! 行きたいに決まってる!」



 良かった、快く来てくれそうだ……

 断られてたらかなり気まずかったからな。



「そういう訳でモネさん、ルーナを僕のパートナーとして連れて行ってもいいですか?」


「もちろんいいよ! でもホントに良かったの?

 この教室は非戦闘員も多いよ?」


「ありがとうございます! あと、最初の教室でも言った通り、実力だけで決めるつもりは無いんですよ。

 ルーナとなら一緒にお互いを高め合えると思えるんです」



 僕の意見を聞いたモネさんは腕を組んで、満足そうにうんうんと頷いている。



「確かにそういうのは大事だね!

 どれだけ強くても相性が悪いと最悪だからね!」



 うん、実際その通りだと思うし、Aクラスの時に出会った2人はどうしても相容れない気がする。


 ルーナはクラスの友達に激励の言葉を貰いながら、軽い別れの挨拶をして回っていた。



「ルーナ、もう大丈夫そう?」


「うん、ありがとう。それじゃ早速、図書館に行こ!

 不肖ルーナ、頑張ります!」



 こうして僕達は3人で図書館に戻る事になった。

 モネさんは細かい手続きや書類作成等を片付けると言って、出口までの見送りになった。


 見送ってくれる手前まで、Aクラスの生徒への対応を考えねばならないと頭を抱えていた。





〜〜〜 一方その頃図書館にて 〜〜〜



 ナツメ達が聖天騎士養成学校を巡っている頃、図書館ではリオテークとアルバによる静寂な鬼ごっこが終わりを迎えようとしていた。



「ふぅ、ようやく捕まえました……

 そうあからさまに避けられると傷付きますね」


「そりゃ避けますよ。貴方が僕を探してる時って大抵仕事を押し付けられるか、碌でもない事に巻き込まれるかじゃないですか……」


「ほほぅ……よく分かっていますね、流石アルバです。

 ちなみに、今回は前者ですよ。おめでとうございます。

 わたくしの報告書を押し付けに来ました」



 リオテークは懐から1枚のメモを取り出し、アルバにそれを渡す。



「はぁ……碌でもない事よりはマシですけど……

 えっと、今回は──あぁ、兎ですか。ここ数年で異形化の間隔が狭まってますね。って、いきなりナツメ君も連れて行ったんですか!?」


「まどろっこしい説明をしても困惑させてしまいます。

 そんな説明に時間をかけるなら、実際に見せた方が圧倒的に理解が早いです」


「また貴方は……くれぐれも気を付けて下さいよ?」



 リオテークは万が一にもそのような事態には陥らせないと軽く笑い飛ばし、最後にこう告げた。




「次の物語ではナツメ君を中心に戦わせるつもりです。

 帰り次第、特訓を始めねば……」




読んで頂きありがとうございます!


次回からはルーナとの修行が始まります!


面白かった! 次回も楽しみ! と思っていただけたなら、広告の下の評価★★★★★を付けてください!


ブックマークや感想も大歓迎です!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ルーナと再会し、ルーナを選び取る。そこは問題ないけれど、その人選の過程がちょっとあっさりしすぎに感じました。物語の進み上では特に問題ないのでこのままでよいと思いますが、もしも書籍化などの折に…
[良い点] Dクラス万歳! いよいよこれから本格的に特訓が始まるということで、ワクワクします! [一言] こんな世界に行ってみたいですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ