「後ろ向きの少年」
「前だけを見て進めばいい」
誰かがそんな事を言ってたけれど、少年にはそれが理解出来ない、
街中を歩く時も川原を歩く時も砂浜を歩く時も、少年はいつだって後ろ向きで歩く。
たしかに周りの人はみんな前向きで歩いてるし、後ろ向きが歩きずらい事も分かる。
それでも後ろ向きの方がスリリングだしワクワクで楽しい。
すれ違う人達は口を揃えて言う。
「なんであの子後ろ向きで歩いてるの?」
すれ違う人達が振り返って言う。
「あの子、後ろ向きで危ないよ」
そうだよ僕はいつだって後ろ向きさ。
なんでそんなに不思議そうな目で見るんだ?
みんな少しでも楽しい事がしたいんじゃないのか?
僕は歩いてる時だって楽しいんだぜ。
なんでみんな前を向いて歩く?
少年は階段だって後ろ向きで上がる。
変な目で見られる事すら楽しい。
おしまい。