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シンイチはいつもとは全く違う雰囲気をかもし出す僕に戸惑ったようだが、それを振り払うかのように言った。
「ふん、とにかく持ってきたようだな。クズにしちゃ、よくやった」
シンイチもそうだが、ケンタもショウジも僕が異常なくらいに落ち着いているので、なにかを感じ取ったのだろう。
いつもならシンイチに続くようになんだかの暴言を吐くのだが、二人して黙って僕を見ていた。
「もういいぞ。用はない。とっとと帰れ」
言われるまでもなく。僕は家に帰った。
次の日、学校に行くと、先生が悲痛な顔と声で、シンイチが死んだとみなに告げた。
みんな一様に驚いていたが、僕は驚かなかった。
休み時間、一人座っていると、ケンタとショウジが僕を見ながらなにか話をしていたが、やがてこちらにやって来た。
ケンタが言った。
「おいおまえ、シンイチが死んで、喜んでんじゃねえのか」
「そんなことはないよ」
「うそつけ! シンイチが死んでも、俺とショウジがいることを、忘れるんじゃねえぞ」
僕は何も言わずにケンタの腕を掴んだ。
「おい、なにすんだよ」
「別に」
ケンタはなにか言おうとしたが、始業のチャイムが鳴ったので、ショウジともども自分の席に戻った。
翌日、先生が昨日と全く同じ顔と声で、ケンタが死んだことを告げた。
みんな驚いていたが、僕は驚かなかった。
僕も当然いじめっ子は嫌いだが、あの女の子は僕以上に嫌っている。
恨んでいるといったほうがいいだろう。
なにせあの少女は、いじめが原因で死んだのだから。
終




