表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プチ小説「納涼探偵P」  作者: まぜたん
4/7

「青い雨音」

 ―――――土砂降りの雨の夜、事件は起きた。


 僕はとんでもない事をしてしまった・・・。

 

 今日の昼間、探偵社の先輩のアシスト中、カメラのレンズ交換を4~5回繰り返したろうか。一番小さな望遠レンズが無いことに会社で気付いた。

 望遠レンズ。50万円もする代物を紛失したのだ。


 先輩の顔が青くなるのを眼前にして、ビニール傘と懐中電灯を手に土砂降りの中へ飛び出してきた。


 そんなこんなで、真夜中の公園に一人の不審者が誕生した。

 「はぁ、雨ガッパも着てくるんだった・・・。」

 草むらを照らしながらのひとりごとである。


 ―――――と、ビニール傘をトントンとたたく音がする。

 

 感覚で分かる。あいつである。僕の悩みの種。幽霊である。

 「今、忙しいんだ・・・。」


 「レンズをお探しですね。全部見ていました。」


 「ん?・・・全部?」

 ふり返ると彼女が立っていた。傘もささず、土砂降りに濡れることも無く、懐中電灯に照らされる光をじっと眺めている。

 「はい、あなたの仕事ぶりをずっと見ていました。」


 「どこで落としたか分かるの?」


 「それが、見ていないんです。」

 からかう様な彼女の言葉にムッとして、草むらに分け入りながら舌打ちをしてみせた。

 「ただ、一箇所だけ私が入れない場所があるんです。・・・多分そこかと。」

 入れない・・・?場所・・・?結界的なものかな?

 彼女を見ると、うつむき顔が赤い。

 ピンときた。彼女は幽霊であるにもかかわらず、風呂上がりの僕を見て悲鳴を上げるのである。普通、悲鳴を上げるのは僕のほうだ。


 ―――――トイレか・・・。


 それは、巾着袋に入ってトイレの棚の上にあった。中のレンズも無事であった。

 「見つかってよかったですね。」

 幽霊が嬉しそうに言った。

 「これで二度目か・・・。」

 二度も幽霊に救われた。毛嫌いばかりもしていられないか・・・。

 

 「あの・・・、幽霊さん。ありがとう。」

 「いえいえ。・・・でも、私の依頼も忘れないで下さいね。」

 

 パラパラとビニール傘に跳ねる水の音が、和らいでいくのを感じながら家路についた。


              「青い雨音」終。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ