プロローグ
俺こと榊原 天一の現在の状態を、世間一般で言うなら、『ハーレム』って言うのかもしれない。
「あのあの天一君! 一緒にお昼ご飯……食べませんか?」
「タカ、ご飯、二人きり?」
「天一、今日は私と生徒会で食べようか。勿論二人きりで、だ」
全男性の夢───ハーレム。
仲のいい友人達からも「羨ましい」「爆発しろ」等の言葉を言われる事がある。
嬉しいかって?……正直に言おう。全くもって嬉しくはない。
こんな事を、ポロっとほかの男子(特に友人)に零したのならば、多分一日中リンチなんかにあって明日の朝日を拝めないだろう。
それでも、この状態が俺にとって好ましいとは思えない。
何故なら、俺は……
────美少女アレルギーだからだ……。
「どういう事?」って思う人もいるだろうから説明させてもらう。
簡単に言うと、美少女(美女でも可)が近くにいると、謎の震え、悪寒、それに全身サブイボができるのだ。
勿論この体質は昔からではない。
アレルギーが出る切っ掛けになったのは、中学時代のトラウマが原因なのだが……話すのはまた今度で。
ということで、この状況で悪態をつくのを許して欲しいと思う。
「美少女とかマジ勘弁……」
美少女に囲まれ、悪寒を感じる体を擦りながら、小さく独りごちるのだった。
高校に入学してから早2ヶ月ほど、俺みたいななにも取り柄がない男が何故こういう事になっているのか。
それは、少々時を遡る……。




